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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

カナダからの親戚、京都観光案内(3)

 カナダの親戚たちは主にアルバータ州カルガリーおよびカルガリーの南、アメリカ国境近くにあるレスブリッジに集まって住んでいます。湿潤温暖なバンクーバーあたりと異なりカルガリーは乾燥地帯に位置し雨がほとんど降りません。そんな地域からやってきたいとこたちにとって日本の雨は初体験だったようです。

 3日間の京都観光を終え次の観光地、大阪へ電車で移動したのですが、この日はあいにく小雨が降っていました。JR環状線の大阪城公園駅からホテルまで、雨の中大きなスーツケースを何個もゴロゴロ引っ張りながらの移動で、ガイド役の私は申し訳ない気持ちでしたが、彼らは雨に濡れながらもなんだか楽しそう。

 チェックインしたあとホテルで傘を借りて大阪城公園の散策に出かけました。Let’s go! 私は傘をさして歩き始めたのにご一行様がついてきません。不思議に思って引き返してみると彼らは「傘の使い方が分からない」と傘を広げるのに四苦八苦しているのです。「いや、そのボタンを押して……」とまるで我が子を幼稚園に送り出す親のような光景が展開するとは夢にも思っていませんでした。

 ―「でもカナダでもたまには雨が降るでしょう?」

 ―「雨が降っても車でしか移動しないので傘なんか生まれてこの方使ったことがない」

 私はおかしさがこみ上げてきて大笑いでした。日本では小学校に上がっても傘ひとつ満足に使えなかったらバカにされるかもしれないけれど、そんなことどうでもいい、100人の人がいれば100通りの個性があるし100通りの考え方がある、それをお互い認めることが大切であって、日本人のように他人の箸の上げ下ろしにまでケチをつけるような態度はよろしくない、と反省しました。

 京都、大阪、奈良、姫路と名所旧跡をいっしょに見物し、岡山・倉敷では親戚の家を私の運転でご案内しました。お互い高齢化してきているので、今回の再会が最後のお別れになるケースが多いでしょう。それでもカナダの人たちは感傷的になることなく、明るくハッピーに神戸港から那覇、石垣、台湾へのクルーズに出発していきました。私はアテンドの疲れがどっと出て、しばらくは放心状態でした。(終わり)

本誌:2018年6月25日号 15ページ

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