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連載記事なんでもQ&A[知的財産]

新型コロナに伴う業態変更

 Q 居酒屋の商売が新型コロナウイルスの影響で苦しくなったことから、居酒屋の評判料理を惣菜として居酒屋の名前を付けてスーパーマーケットに出荷するようになりました。居酒屋のお客さんを中心に惣菜が売れ始めたところ、スーパーマーケットで惣菜を売ることが商標権侵害になるとの警告書が送られてきました。調べてみると、居酒屋の名前と同じ商標を惣菜について警告者が登録しているようです。自分が商標登録している居酒屋の名称を使用しているのに、他人の商標権を侵害するなんて…。

 A 商標登録により得られる商標権は、登録した商標と同一又は類似の商標を、登録した分野(指定した商品又は役務)と同一又は類似の分野に使用する行為を独占できる権利です。このため登録した分野と類似しない分野については効力がなく、例えば、登録した分野と類似しない分野であれば、登録した商標とそっくりの商標であっても他人が商標登録したり使用することを原則として抑えられません。

 居酒屋で料理を出すこと(以下「料理提供」)と、その料理を惣菜としてスーパーマーケットで販売すること(以下「惣菜販売」)と、は、よく似た行為のように思えますが、商標登録においては互いに類似しない分野として原則的には扱われます。このため居酒屋の看板等に商標を表示するための料理提供の分野を指定した商標登録は、惣菜販売の分野に同じ商標を他人が商標登録したり使用することを原則として抑えられません。

 このため居酒屋の名称を料理提供に関し登録した貴台の商標権と、同じ商標を惣菜販売に関し登録した警告者の商標権と、は併存し得るものであり、その商標を貴台が料理提供に使用すると共に警告者が惣菜販売に使用することはいずれの商標権の侵害も成立しません。しかし、原則的には、この商標を貴台が惣菜販売に使用することは警告者の商標権を侵害することとなり、反対に、警告者が料理提供に使用することは貴台の商標権を侵害することになります。また、持ち帰り(テイクアウト)形態についても、惣菜販売と同様に注意が必要です。

 最近は、新型コロナウイルスの影響で、異なる事業をお始めになる方が増えておりますが、このときには他人の商標権の侵害とならないよう十分ご注意ください。

本誌:2021年2月8日号 22ページ

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