WEB VISION OKAYAMA

連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

「雪舟と玉堂」ふたりの里帰り展

 岡山県立美術館において開催中の同展覧会は3月14日までです。岡山にゆかりのある雪舟と玉堂の作品がこれほどまとまって一度に見られる機会はもうないかもしれません。というのも近い将来、美術館の展示スタイルが伝統的なものから様変わりするかもしれないからです。

 これからの拠点美術館の機能は作品の文献学的な考察に留まらず、科学的鑑定、保護と修復、永久保存のためのセンターとしての役割がますます大きくなる一方、展示については従来のオリジナル作品をそのまま陳列する方法から、高精細画像、立体画像として作品をデジタルデータ化し、ネット回線を通じて提供するスタイルに遷移していくでしょう。いつでもどこでも、感染症の流行など気にすることなく、世界中の文化遺産を自宅や学校において見ることができるようになるのは時間の問題だと思います。

 そういう意味では今回のような大きな展覧会は、我々現代人にとって、数百年前に描かれた国宝級の書画を直(じか)に、しかも圧巻のスケールで見られるほとんど最後の幸運な機会と言っても過言ではないと思います。

会員申し込みはこちらから

本誌:2021年3月1日号 16ページ

PAGETOP