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連載記事マネーの道しるべ 57

巨大組織と対峙して

  • 森康彰氏

 保険会社という巨大組織と対峙して経営のかじ取りをしていますが、零細企業なので保険会社が起こすうねりを見極めていかないと難破してしまいます。また、保険会社のいくつかの組織は、すっかり機能不全に陥っているのです。まともに相手することをあきらめ、巻き込まれないようにすることが大切だと切々と感じています。
 
 某保険会社には、3年ほど前から、ある管理職を名指しで注意してきました。その管理職の下に、無能な人物ばかりが集まりだしたからです。その結果、どんどん組織は機能不全に陥っていきました。商品力はあるので、弊社はその保険会社の商品を中国地方で一番販売しています。お互い発展できるようにするための話し合いをするのですが、回を重ねるごとにコミュニケーションが取れなくなっていきました。約束を反故にされ、本来やらなければならない仕事さえしなくなり、現場が個人の間違った判断で行動するようになり統制が取れなくなりました。ついに今秋、その人物が経費流用の疑いで失脚したのですが、組織が立て直せるかどうかは分かりません。

 退職金7億円がもたらす機能不全にも巻き込まれています。会社の規模や利益に反して、役員報酬は低く抑えられているのですが、退職金が7億円と設定されているため、そこを目指す人生ゲームは一度バランスを崩すと内部の人間ではどうしようもないのでしょう。入れ代わり立ち代わり、問題の当人以外が県外からも謝罪に来るのですが、当の本人が居直り続けることを許すしかできないのが現状です。馬鹿論からすると、賢いのでしょう。機能不全を逆手に取ることができるのは、道徳や倫理を無視し、出世に必要な条件を整えられる優秀さを兼ね備えているからでしょう。この場合、弊社としては、なすすべなしです。

 産業構造上、保険会社はちょっとやそっとじゃ崩れません。リーマンショックの時にAIGがアリコを手放したのもアリコの経営が健全で販売できる価値があったからです。ですから、機能不全を起こしていたとしても、ただちに多臓器不全に陥り、命を失うということにはなりません。零細企業の弊社は、馬鹿でも賢くもなく、社会に対してどこまで役に立つことができるかという愚直さに立ち返るしかないのです。それがかじ取りを誤らないために一番大切なことだと再確認しています。

●森康彰●2年間、保険代理店に勤めた後、2008年に保険コンサル会社㈲e.K.コンサルタントを設立。2014年に東京支社を設けるなど、首都圏へも業務を拡大中。 敬愛する人物は、稲森和夫、立川談志。

本誌:2019年11月25日号 13ページ

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