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巻頭特集岡山県社会保険労務士会会長 双田直氏

改革を企業の成長につなげたい 会員の質高め労使繁栄を支援

 人、モノ、金のうち、人に関する専門家として企業を支える社会保険労務士。採用から退職までの「労働・社会保険に関する諸問題」や「年金相談」など幅広い分野で活躍している。さらに労働力人口が減少に転じた今、国が進める働き方改革においても、社労士が担う役割が期待されている。県下で活躍する全社労士が登録する岡山県社会保険労務士会の双田直会長に現状や取り組みを聞いた。

□岡山県の現状は。

 岡山、倉敷、津山の3支部に登録する社労士は534人(9月末時点)。年々増加している。またこのうち話し合いで労働関係紛争の解決を目指す、裁判外紛争解決手続きの代理業務を担える特定社会保険労務士は168人(同)に上る。昨年には社労士制度創設50周年を迎え、会員一同、気持ちを新たにしたところ。大きく雇用制度が変わる中、人事・労務の専門家としてしっかり企業・労働者を支えていきたい。

□働き方改革での役割が期待されている。

 4月の改正労働基準法施行で時間外労働の上限規制、年次有給休暇の取得義務化がスタートし、来年4月から同一労働同一賃金が大企業、人材派遣から導入されるなど、働き方改革に関連し制度が大きく変わる中、社労士が貢献すべき場が拡大している。残業を強制的に減らすなど、ただ制度に合わせればいいというものではなく、労使双方が納得いく形で、しかも企業の成長を実現するものにしなくてはならない。特に2021年には中小企業も対象となる同一労働同一賃金は、理解が難しく社労士の法と企業をつなぐ役割が大切になる。“棚卸”から労使の意見の汲み取り、新たな人事・評価制度の構築、PDCAサイクルによるフォローまで、専門家としてのノウハウ駆使し企業と一緒になって改革を実現することが社労士の役割だ。

□そのために取り組むことは。

 企業の生産性アップ、採用にもつながる働きがいのある職場の実現で、実のあるお手伝いができるよう、さまざまな研修などを通して知識、人格、倫理概念などあらゆる面で社労士の資質向上に力を入れているところだ。また、社労士自身業務を効率化するためAIなどICTの活用推進にも注力している。今年度電子化推進委員会を立ち上げ、どのようなツールが活用できるかなど研究、情報提供を始めた。手続き業務などをスピードアップし、コンサルティング業務に時間をさけるようにするなど、社労士自身が進化できるようにしていく。

□社労士会では社会貢献事業も実施している。

 気軽に相談いただけるよう「年金・総合労働相談所」を各所で定期開催しているほか、「個別労働紛争解決センター岡山」を運営している。同センターは、裁判によらず社労士を介しての話し合いで紛争を解決する機関で、簡易・迅速・低廉に解決を図ることができるもの。また、学生が社会に安心して巣立っていけるよう、労働に対する考え方や求人、求職について、また労働・社会保険制度の仕組みなどを知ってもらうための授業「学校出前授業」も行っている。そのほか、仕事と治療の両立支援、医療機関の勤務環境改善支援など、幅広く社会貢献に取り組んでいる。

□社労士活用のためのアドバイスは。

 トラブルが起こってからではなく、起こさない仕組み・会社を成長させる仕組みづくりの段階から頼ってほしい。特に国が従来の企業文化・風土を変えるとしている働き方改革では、スタートアップから活用することで、働きやすく生産性の高い体制作りはもちろん、管理職・従業員1人ひとりの意識改革まで支援することができる。リスクヘッジのためにも早めに相談してほしい。

本誌:2019年11月25日号 4ページ

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