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連載記事人材育成のタネ 84

階層別研修の考え方と実施方法

  • 竹本幸史氏

 今、ビジネス研修で階層別研修に注目が集まっています。階層別研修は、その特性上これと決まった形がないため、これから導入を検討している企業は、どんな研修を行えばいいのか分からないケースが多いようです。そこで今回は、階層別研修の導入にあたっての注意ポイントを紹介したいと思います。

 階層別研修とは、社員の階層によって異なる研修を受講させ、それぞれの階層で必要不可欠なスキルを身に着けさせることを目的とした研修です。階層とは新入社員や中堅社員、管理職といった役職や立場であり、階層に応じて適切な研修内容を実施していきます。例えば、新入社員なら基礎的なビジネスマナー、中堅社員ならマネジメント能力、管理職なら意思決定の能力といったものです。各階層に求められるスキルを適切に身に着けていくことは、個人のスキルアップだけでなく、会社全体のレベルの底上げにもつながります。そのため階層別研修は企業の底上げ教育とも呼ばれています。では、なぜ今、多くの企業が階層別研修を導入しているのか。

 階層別研修のタイミングは、研修対象者が役職や立場に就いた後に実施します。なので、研修対象者は、その階層に至る最低限のスキルや素質は既に持ち合わせていることが前提です。しかし、就任したからといってすぐその階層に求められる成果が発揮できる訳ではありません。基礎はできていても、その先の応用や業務に対するマインドが不明瞭になるといった状況は起こりえます。また、階層が上がるほど、求められる能力は多岐に渡るので、OJTや独自でのスキルアップに限界があります。そのため、特定の階層へ就任後に階層別に研修することで、対象者のスキルを底上げし、安定的に人材育成することができます。

 もう1つの目的は、業務の意義や求められるスキルを自ら学ぼうとすう姿勢を身に着けさせることにあります。研修は階層に応じたスキルや姿勢を習得するために実施しますが、そこで得られるスキルや姿勢は一過性のものではいけません。企業に勤務する以上、昇進や異動などといった階層の変化は何度も訪れるからです。 また、世の中の動向が目まぐるしく変化している今、同じスキルが役立つとは限りません。環境変化が著しい時代に、その時しか使えない能力をその都度学び直すことは非効率です。階層別研修で真に学ぶべきは、業務の根本的な意義やどんな環境でも自ら学ぶ姿勢なのです。

 導入する際、どの階層から研修すべきかが問題となりますが、結論から言うと、最終決定権のある経営幹部や管理職層から実施することが望ましいでしょう。トップ層から研修し、中堅、若手、新人とトップダウン式に全体へ浸透させる流れです。ちなみにトップダウン式の研修方法は、経営学者の故ピーター・ドラッカー氏が提唱するトップマネジメントの考え方に沿ったもので、国内でも多くの大手企業が取り入れています。

●竹本幸史● 元㈱リクルート岡山支社長。現在は人材育成を主としたコンサルティング業務の㈱SWITCH WORKSを立ち上げ奔走。またリーダー養成スクール「法人会員制・定額制ビジネススクール」を開講中

本誌:2020年12月1日号 13ページ

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