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特集[挑戦する若手経営者]総論 岡山県事業承継・引継ぎ支援センター統括責任者 川広克己氏

円滑な承継は早期着手が不可欠 人手不足深刻化で相談が急増

 中小企業の円滑な事業承継をワンストップで支援する公的な相談窓口「岡山県事業承継・引継ぎ支援センター」。経営者の高齢化、後継者不在、人手不足で事業承継が経営における大きな課題とされている中、近年相談件数も増加傾向という。同センターの統括責任者・川広克己氏に、現状と経営者に必要な準備などについて聞いた。

―センターの事業について。

 後継者不在に悩んだり、経営資源を引き継ぐ意欲のある中小企業・小規模事業者に対し、知識・経験が豊富な専門家や金融機関OBのコーディネーターが相談から、課題の抽出、計画策定、マッチング、承継の完了まで伴走支援しています。センターは国が各都道府県の支援団体に委託して設置し、岡山県では(公財)岡山県産業振興財団が運営しており、相談料、手数料は無料です。

―支援実績。

 年間の相談件数は400件ほど。商工会議所や商工会といった経済団体、士業などと地元企業の承継に関する悩みを共有し、連携して対応する仕組みを構築したことで、相談件数は増加傾向です。また、そのうち、第三者承継が220件を占め、譲渡希望が4割、譲受希望が6割です。成約数は約40件で推移しています。

―具体的にどういった相談が増えてい
るのか。

 割合として減ってきてはいますが、親族内承継の相談は依然多いです。何よりやる気に満ちた若い後継者が増えています。経営者が企業の連帯保証人になる「経営者保証」が足かせとされてきましたが、依存しない融資が増えており、従業員承継の相談も増えています。

 また、最近、コロナ禍で減らした人手を回復させることができずに譲渡したいという企業と、同業者の譲り受けで人手を得て業容拡大を図ろうとする一定規模以上の企業が増えています。いずれも特に運輸業、建設業、飲食業に多く、そうした業種からの廃業支援の相談も増えています。

―課題と経営者に求められる準備。

 スムーズな承継には、早めの計画策定が重要です。昔は特に取り決めなく承継されていた親族内であっても、兄弟間の裁判などのリスクを避けるために、最近では5カ年の事業承継計画書を作成し、引き継ぐ有形・無形の資産について書面で残したいというニーズが高まっています。

 第三者承継の場合、相手はすぐには見つかりません。財務が優良であれば別ですが、そうでない場合も財務・資産を整理しておけば、印象が変わってくるようです。手数料を支払ってでも早く見つけたいという場合、全国規模のM&A仲介業者を紹介可能です。最近増えている「バトンズ」などのプラットフォームを活用すれば、比較的手数料が抑えられます。

 また、旧商法下で設立時の発起人7人が必要だった際の「名義株」が残っている場合は、M&A、相続時の大きなハードルとなりますので、金融機関や顧問税理士などに相談して早期解決すべきです。センターではあらゆる承継に関する悩みに秘密厳守で対応しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

岡山県事業承継・引継ぎ支援センター

所在地  岡山市北区芳賀5301
     テクノサポート岡山
電話   086-286-9708
ファクス 086-286-9709
URL  http://shoukeihikitsugi-okayama.go.jp

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