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連載記事人材育成のタネ 86

今こそ、組織開発に取り組もう

  • 竹本幸史氏

 社員同士の関係性への働きかけや、相互作用によって組織を成長させる「組織開発」。グローバル人材の育成、管理職の強化、女性従業員の活躍支援といった日本企業の抱える課題を解決する方法の一つとして注目されています。組織開発とは、人と人との関係性の変化や相互作用により、組織を変化させていくという考え方のこと。人事領域では、従業員同士の関係性に働きかけることで組織を活性化し、一人一人の能力を引き出そうとするアプローチを指します。

 よく、組織開発と人材育成はどう違うのかと質問されます。人材育成とは、個人の能力を高めることで組織の成長を図るという考え方です。人材育成と組織開発は、よく対比して考えられますが、取り扱う対象が違います。人材育成の対象は「人」であるのに対し、組織開発の対象は、人と人との「関係性」や「相互作用」です。また、原因がどこにあるかに対する考え方も違うため、課題に対するアプローチも変わります。例えば、若手従業員の早期戦力化という課題があったとします。人材育成のアプローチは、まず若手従業員に原因があると考え、本人に対する育成施策を講じるのが一般的です。その結果、人の育成を通じた早期戦力化に取り組みます。一方、組織開発のアプローチは、本人と上司や職場の同僚との関係性に原因があるととらえ、その関係性の改善を図るのです。組織開発では、本人と上司の間で期待する役割認識や成長課題に相違がないか、本人と職場の同僚との間で十分な協力関係が築けているかといったことを改善課題ととらえます。これらの課題に対して、上司や同僚との関係性に良い変化を起こすためのミーティングやワークショップを設け、早期戦力化ができる職場づくりに取り組むのです。

 このように、若手従業員の早期戦力化という課題であっても、人材育成と組織開発ではアプローチの方法が違います。しかし、アプローチが違うからこそ異なる解決策が生まれ、組織の抱えるさまざまな課題に対応しやすくなるのです。近年よく利用される組織開発のフレームワークがありますので、ご紹介します。

 「ミッション・ビジョン・バリュー」。組織を成長させる礎となる「企業理念」を構成する3つの要素のこと。組織の存在意義(ミッション)、組織が目指す姿(ビジョン)、価値観・行動指針(バリュー)を定義するフレームワークで、頭文字から「MVV」とも呼ばれています。組織の存在意義を明確にすることで、組織のメンバーの帰属意識を高めたり、意思決定を行いやすくなったりします。また、企業が掲げるミッション・ビジョン・バリューを浸透させることで、組織開発を進めやすくなります。

 OKRとは、「Objectives and Key Results」の略で、目標管理方法の一つです。企業、チーム、個人の目標がリンクすることで、同じ目標に向かって計画を進められることを目的としています。OKRを作成する際のポイントは、挑戦的・野心的な目標や、確実に実現できそうなレベルより1段階上のストレッチゴールを設定することです。OKRを導入することで、企業と従業員のベクトルの一致、取り組むべき課題の明確化などの効果が期待できます。

●竹本幸史● 元㈱リクルート岡山支社長。現在は人材育成を主としたコンサルティング業務の㈱SWITCH WORKSを立ち上げ奔走。またリーダー養成スクール「法人会員制・定額制ビジネススクール」を開講中

本誌:2021年2月1日号 10ページ

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