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巻頭特集表町で月決め駐車難民拡大

マンション新設×再開発工事特需×コインパーキング化 立駐は改修控えさらなる減少も懸念

  • 月決めはキャンセル待ちというスカイパーキング
  • 平和パーキング跡で建設が進むマンション
  • 需要拡大要因マップ

 表町商店街が中央を南北に貫く岡山市北区表町・中山下エリアで今、月決め駐車場が不足している。元々稼働率が高いエリアだが、どこも満車で、それでも同エリアに駐車したいとキャンセル待ちが発生する状況。なぜ今ここまで不足する事態になったのか、複合的な要因をひもとくとともに、今後待ち受けるさらなる懸念材料を紹介する。

 「表町では駐車場を借りられない。どこまで離れれば空きが見付かるのか」―。最近こういった声を聞くようになった。不動産仲介を手掛ける㈱ウェーブハウス(岡山市)の市川周治社長は、「料金が割高になってもコインパーキングなど時間貸し駐車場を使いながら、解約待ちの“列”に並び待ち続ける人もいる」という。特に、輸入車などの高級車は、探すのがさらに大変。古参の機械式立体駐車場は、こういったサイズの大きい車に対応していないためだ。近年の5ナンバー車の大型化やミニバンなど背の高い車の人気で、利用できない車は増えており、空きが見付かっても駐車できない状況も増えている。

 さらに営業車を必要とする企業では、増車が難しくなり、確保できてもオフィスと距離があるため移動時間が余計にかかってしまい非効率と、より深刻。市川社長は「これまでも駐車場問題で中心市街地から周辺部へ移転した企業は多い。転入を検討していたとしても、駐車場を確保できない状況ではちゅうちょするのではないか」という。

 駐車場事業者などへの取材を進めると、ここまでひっ迫したのは、複数の要因が重なった結果のようだ。

要因1 マンション新設

 主に同エリア北部の要因として挙がるのが、マンションの新設。岡山市北区中山下1-5-27でタワー型の駐車場「スカイパーキング」を経営する㈱MGH(岡山市)は、近年短期間で2棟の新設があったことが要因ではないかと分析する。

 2018年末にエリア北西角に竣工したグレースタワーⅢ(総戸数145戸)の入居者がこぞって月決め契約した3年前から高稼働が続いていたところへ、昨年11月、ポレスター中山下(同42戸)が完成。一気に供給がひっ迫したというわけ。

 マンションへの駐車場整備は多くの自治体と同じく岡山市でも条例で定められている。しかし、全戸数分用意しなければならないわけではなく、ほとんどのケースで総戸数よりかなり下回る台数になっている。ポレスター中山下も19台と総戸数の半数程度。中心市街地とはいえ、マイカー文化の岡山において車は必須の移動手段だけに、マンションの新設は需要増加に直結する。

要因2 再開発工事関連特需

 一方、中・南部の要因として挙がるのが、川崎医科大学付属川崎病院跡地で進められている短大、高齢者医療センター整備事業の工事関係での需要増加。6000㎡を超える大型工事ともなると、かかわる人間も多く、通勤や関連車両置き場用の駐車場が必要になっているという。

 そうなると、さらに大型の新市民会館「岡山芸術創造劇場」建設工事が影響しそうだが、もっぱら国道250号を挟み南向かいの天瀬に流出。意外にもほぼ影響がない状態という。

要因3 月決め撤退

 むしろ南部では、2年前に300台収容の自走式立体駐車場「平和パーキング月極専用駐車場」(岡山市北区表町3-16-41)が撤退したことが影響。同地区で複数の駐車場を経営する㈱ザ・サード(岡山市)は、「近隣の川崎医科大学総合医療センターの医療従事者が多く契約していたため、撤退が決まると一気に周辺の駐車場に流れ込んだ。以降、ほぼ満車状態が続いている」という。

要因4 コインパーキングへの転換

 さらにその背後で、供給を押し下げる要因となっているのが、コインパーキングの急速な勢力拡大だ。店舗、オフィスが集中する中心市街地での意欲は現在でもおう盛で、大手事業者が月決め駐車場に対し「現状の1.5倍の相場で借り上げる」など破格の提案で転換を勧めているという。月決め駐車場の料金は1台月2万5000~3万円(北部)で「これ以上値上げするのは難しい」状況。立地にもよるが、コインパーキングなら回転率の良さで従来を上回る収益を上げることも可能とあって、転換が進む傾向にあるという。

 それだけにいくら供給がひっ迫しても、月決め駐車場の新設は期待できない状況だ。

今後も続く駐車場不足

 それだけに、周辺の大型工事終了後も、状況が改善される公算は低い。

 さらに、平和パーキング跡でアルファステイツ表町レジデンス(総戸数84戸、駐車場72台)が来年4月完成予定のほか、3丁目劇場跡の再開発でタワーマンション(同184戸)が2024年完成予定。岡山芸術創造劇場が開館すれば、会館関係者はもちろん、周辺の開発でさらに需要は拡大する。

 また、機械式駐車場を中心に老朽化に伴う改修が控えており、多額の投資に廃業を選択する事業者が現れることが懸念されるという。岡山駐車協会の藤井一也会長は、「駐車場事業者がおかれているのは、高稼働で安泰と言えるような簡単な状況ではない。状況の変化に対応しつつ、相当の経営努力が必要になる」と話している。

本誌:2021年2月1日号 4ページ

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