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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

冬の宮島旅行

 コロナ禍の再燃で日本各地の名だたる観光地はどこも閑古鳥が鳴いています。海外からの観光客は途絶え、GoToトラベルも中断してしまい、宿泊施設やおみやげ屋さんにとってはつらい日々が続いています。外国人による人気投票で常にトップになる宮島も例外ではありません。

 そんな宮島に久しぶりに出かけてみました。いままで何度も宮島に行きましたが、厳島神社に参拝した後は喫茶店でコーヒーを飲んで帰るのが常でした。しかし今回は長年の夢だった弥山(みせん)登山に挑戦してみました。と言っても日頃の運動不足の体では標高535mの山はきつ過ぎるので登りはケーブルカーで。

 頂上駅から弥山までは1㎞ほどの下りと登りの行程があり、これがなまった体にこたえます。しかし人間の体は不思議なもので、歩き始める前はケーブルカーの駅舎のわずかな階段を上るだけでも心肺が停止するんじゃないかというほど辛かったのに、いったん山道を進み始めるとどこからか力が湧いてきます。

 地元の人の話では1年前までは弥山の頂上も外国人観光客であふれかえっていたそうですが、今はお年寄りや若者のグループが三々五々すれ違うだけ。頂上の巨石をバックに記念写真を撮って、足取り軽く下り始めました。山登りは登りより下りる方が足に悪いとよく言いますが、肥満評価(BMI)30を超過している私にとっては下りの方が断然楽です。

 ただ宮島の山はかなり急で、下り行程の半分ぐらいのところで筋肉の疲労とエネルギー不足でフラフラに。不覚にもこんなところで倒れて救援を呼んでも体重100㎏超ではレスキューの人に申し訳がたちません。10歩下っては足を休め、また10数歩下るという情けない山下りでしたが、宮島の商店街にたどり着いてアナゴどんぶりをいただいたらすっかり元気を取り戻しました。

 厳島神社のシンボルである海中の大鳥居は現在修理中のため養生材で覆われ、美しい姿を拝めないのですが、確かにこの眺めは日本三景の中でも別格で、人工物と自然が完全に融合したドラマチックな存在であるし、世界文化遺産の名にふさわしい日本の至宝です。その世界のMiyajimaをこんなにゆっくり味わうことができるのは、いま日本にいる人だけ。すぐにも再訪したい冬の宮島登山付き一日観光でした。

本誌:2021年2月1日号 12ページ

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