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連載記事マネーの道しるべ 10

相続税率は本当に高いのか

  • 森康彰氏

 気が付けば師走。今年1月から相続税の基礎控除額が4割引き下げられたことにより、相続対策を打たなければなんて話をよく聞きました。相続税の最高税率は50%ですが、これって本当に高いのでしょうか。労働賃金と違って、相続税は受け取るほうからすれば、棚ぼたとまではいいませんが半分ぐらい納税したって罰が当たらないようにも思います。

 そもそも、日本人はかなり長寿です。医療も発達しているので、資産家は健康も買うことが可能です。相続財産を利回り4%で運用したとすれば、半分納税しても18年で元本をとり返せます。そして、その先18年で受け取った金額の倍にまで増やすことができます。少し乱暴な計算をすると、10歳の孫が相続した資産の50%を納税したとしても、相続人が46歳のときにはその資産は倍に増えています。さらに64歳の時には4倍、82歳まで生きていれば8倍です。トマ・ピケティが言うように、日本のような先進国では経済成長率は1~1.5%に落ち着き、資本収益率が4~5%に落ち着いているのであれば、相続税を50%払ったとしても格差は広がっていくのです。つまり、相続を考えるときに大切なことは、子孫が健康で絶えることないようにすることと、正しい運用の知識を身に着けることなのです。

 日本のたんす預金の中には、聖徳太子の1万円札も2000億円ほどあるともいわれます。聖徳太子の1万円札が刷られなくなってから30年以上が経ちます。相続税を逃れるためにたんす預金でずっと寝かしているのかもしれませんが、この30年間の物価上昇を考えると、相続税を逃れ、使うこともできないたんす預金を選択したことは間違いだったことが分かります。正しい金融知識を持つことが、いかに大切かがよく分かります。

●森康彰● 2年間、保険代理店に勤めた後、2008年に保険コンサル会社㈲e.K.コンサルタントを設立。2014年に東京支社を設けるなど、首都圏へも業務を拡大中。 お金の運用に関する相談やセミナーも開催している。

本誌:2015年12.14号 19ページ

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