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[知的財産]出願公開から特許迄の他人の行為

 Q 弊社の特許出願が公開されましたが、競争相手がその出願内容を用いた製品の製造を先日開始しました。弊社の特許出願が特許される前の競争相手の行為に対し、何か手立てはないのでしょうか。

 A 特許出願しますと、出願日から1年6月経過後、公開特許公報として出願内容が公開されます(例えば、インターネットにて閲覧可能)。これにより出願内容が広く公表され、出願内容が他人から模倣される危険性が増加します。このとき早期審査制度を利用して迅速に特許権を取得して、模倣者に特許権を行使すること
もできますが(2013年12月号に詳しい)、この場合でも特許権取得までには一定期間を要します。

 そこで、公開から特許権取得までの期間内の模倣行為に対しては、その出願が特許されていたとした場合に、その特許権使用料程度の補償金の支払いを請求できる『補償金請求権』が認められています(但し、特許権取得後に認められる差止や損害賠償を請求することはできません)。

 この補償金請求権は、下図の通り、出願公開から特許権発生(設定登録) までに特許出願に係る発明(特許請求範囲に記載された発明)を業として実施した者に対し、出願人が、特許出願に係る発明の内容を記載した書面によって警告した場合は、その警告から特許権発生までの行為に関してロイヤリティ相当額の補償金を請求できるものです。この補償金請求権は、特許権発生後でなければ行使できませんので(特許権設定登録後3年間経過すると行使できなくなります)、審査過程において拒絶された場合は、補償金請求はできません。また、出願公開された特許出願に係る発明であることを知って模倣した場合であれば、この警告は不要ですが、そのことを模倣者が知っていたことは出願人が立証する責任があります。

 このように本件に関しましては、補償金請求権及び早期審査の両制度を検討してみてはいかがでしょうか。

本誌:2015年12.14号 29ページ

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