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ブランド調査 7

 インターブランド社などのブランド・ランキングやブランドの価値についてみてきた。最終的にはブランドを売りたいという会社(人)と買いたいという会社(人)との交渉で価格は決まる。そしてこの価格は恐らくブランド・ランキングの価値とはかけ離れた価格の可能性が高い。従って、ランキング一つ一つについて目くじらを立てることはない。しかし、相対的な順位と時系列の推移については価値ある情報と言える。

 ブランド価値にとって筆者は一番大切なのは時価総額と考えている。何故ならそれが市場での企業やブランドの売買の基礎となるからである。そして、その価値を決定づけている要因で一番大切なのはブランドを支持してくれるお客様のロイヤルティーである。愛用者のいない商品やサービスがブランドになることは有り得ない。

 ブランド管理をするマネージャーにとっていちいちブランド価値を計測する必要もなければブランド価値を把握する必要もない。ブランドは市場で刻々と変化している。つまり、ブランドは日々戦い続けているのである。フォルクスワーゲンや東芝のような不祥事があれば一日にしてブランド価値は大きく毀損する。

 マネージャーはいちいち価値がいくらか測る必要はないが、そのブランドが顧客にどのように認知されているか定期的に把握する必要がある。繰り返しになるが、ブランドは消費者に問わなければならないので費用と手間がかかる。しかし、責任あるマネージャーにとって担当ブランドとベンチマークしている競合ブランドの認知率、好意度、連想、知覚品質などを把握せずしてブランド・マネジメントとは言えない。

 大学ランキングについても然りである。既に述べたタイムズ・ハイヤー・エデュケーションの調査でも、どちらかというと大規模の総合大学を取り上げて、論文数、教員数、学生数や留学生数などを比較しているにすぎない。小さな大学でも地域に貢献し、しっかり研究も教育もしている大学はたくさんある。世界標準で一律に比較されることについては問題なしとは言えない。しかし、これも相対的な順位とトレンドについては意味のあるデーターと言える。

 世界のビジネススクール(経営学の修士課程で通常MBAと略される)のランキングがエコノミスト誌より発表されたので、記載しておきたい。トップにはシカゴ大学が、2位にはバージニア大学、3位にはダートマス大学、4位にハーバード大学、以上は全て米国の大学である。5位にフランスのHEC大学が入っている。フランスはこれ以外に8位にINSEADが入っている。フランスは講義も英語化することで世界競争の中で健闘していると言える。日本では90位に国際大学(IUJ)が入っている。これは国際教養大学ではなく1979年に設立された大学院大学で2013年にMBAプログラムをスタートしたばかりの大学である。アジアでは26位に香港大学、59位にシンガポール南洋大学、60位にインド経営大学院、76位に香港科学大学、100位に香港中文大学が入っている。日本は既に経営学においてはアジアの他の国に先行されていると言える。

 全ての日本の大学やMBAが英語を使用言語とする必要はないかもしれないが、グローバル化が加速される中で一部の大学やMBAは英語を標準とするような努力をしなければ日本は取り残されるのではないかと危惧している。自国の文化に強い誇りを持っているフランスですら英語化の努力をしていることに注目すべきである。

本誌:2015年12.7号 23ページ

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