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温泉から室内プールへ(上)

 かつて大阪で働いていた30年近い歳月の間、飽くことなく休日には紀伊山中の温泉に出掛けたものです。龍神温泉や川湯温泉は四季を通してほんとうに美しく、日本の情緒ここに極まれり、といった風情です。

 日本に大挙して押し掛けてくる外国人観光客の間でも急速に日本の温泉が知れ渡ってきているようですが、マナーの問題や習慣の違いによるトラブルはあるにせよ国際親善にとって温泉ほどいい雰囲気を醸し出すところは他にないと思います。

 外国人が驚き抵抗を示す筆頭は何といっても他人の前で素っ裸になって温泉に入る点につきます。あの恥という概念がまったく欠如していると思われる中国人でさえ、温泉で裸になれと言われると柄にもなく顔を真っ赤にして恥ずかしがります。今はまだ温泉が中国人によって占拠されたという話は聞きません。でも彼らが温泉の快楽を覚えるのは時間の問題でしょう。

 かつては生ものを絶対食べなかった中国人も今では脂ぎった大トロのとりこになっているし、冷たいものは毒だと信じて疑わなかった彼らも今では冷たい生ビールやアイスコーヒーに慣れ親しんでいます。

 さて、もともとは温泉大好き人間だった私も両親の介護のために岡山に帰って以来、温泉場でゆっくりする精神的余裕をなくしてしまったのか、あるいはしょっちゅう上海に出掛けるせいで気持ちが中国人化したのか、温泉に対して何となく抵抗感を感じここ十数年一度も温泉に出かけたことがありません。醜くたるんだ100㎏の巨体を人前に晒すのはさすがに恥ずかしいことです。

 ところが医師から執拗にフィットネスを勧められついに体を動かすことにしました。まずは水中歩行から。いきなりプールに行く前にまずは町中のスーパー銭湯で“服を脱ぐ”練習をしよう!そして出かけたのが近くの「大家族の湯」でした。

 オープン以来店の前をよく通りかかるのですが、広大な駐車場を埋め尽くす車の数に恐れをなして今まで敬遠していました。しかし勇気を出して行ってみてびっくりです。20数種の風呂のほかにプール、フィットネスジムまで完備し、まさに空前の規模の「湯」でした。今ではすっかりとりこになってしまい2日と置かず出掛ける始末。さっそく入浴効果を実感しています。(続く)

本誌:2015年12.7号 19ページ

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