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連載記事社説

「収益」と「社会課題」のバランスを取る

 (一財)地域公共交通総合研究所(代表理事・小嶋光信両備グループ代表)がまとめたバスや鉄道など全国約500の公共交通事業者に対するアンケートで、約3分の1が「コロナ禍による赤字は回復不可能」と回答したことが明らかになった。モータリゼーションの進展で利用者離れに歯止めのかからない状況だったところへコロナ禍が追い打ちをかけ、行政の補助・支援がない場合、経営維持は「24カ月まで」との回答が6割に上る危機的状況だ。

 小嶋代表理事は、民間企業任せで赤字が出れば補助金で補てんし、自助努力の意識を低下させかねない日本の公共交通のあり方に疑問を呈し、先進国で一般的な、行政が設置して民間に運営を委託する「公設民営」を長年訴えるとともに、その効果を実証するため、ネコの「たま駅長」が一世を風靡した和歌山・貴志川線の再生などに取り組んできた。ただ、今回の事態の深刻さはこれまでの比ではなく、「健全な公共交通経営の維持」という視点を、法制度に明記することを訴えている。

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本誌:2023年8月21日号 18ページ

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