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連載記事人材育成のタネ 66

社員の早期離職対策

  • 竹本幸史氏

 中堅中小企業は、常に人材不足という課題に直面しています。採用自体がままならない上、せっかく育てた人材に辞められてしまうと、経営に大きなダメージとなります。では、人材が辞めないようにするために、中小企業としては何をすればいいのでしょうか。人事制度の整備や働き方改革の推進など、それぞれの企業に合った取り組み、総務人事がなすべきことを考えていきたいと思います。

 そもそも人材不足には2つの問題があります。1つは、必要な人材の数を採用できないこと。そしてもう1つは、会社の事業と未来を支える優秀な人材を確保できないという意味での人材不足です。中小企業は、大企業に比べて人材の良し悪しが事業の根幹に直接響いてきます。しかし、現在は売り手市場の採用難。大手企業でさえ優秀な人材を集めるのが難しい状況の中、採用の絶対数が少なければ、優秀な人材を獲得できる確率も必然的に少なくなります。とりわけ日本の学生は大企業志向が強いため、中堅中小企業にとっては深刻な問題でしょう。となれば、中小企業に求められるのは、限られた人材をいかに育てていくかしかありません。ところが、ここにまた1つ別の問題が生じます。せっかく育てた人材が会社の主軸となり活躍してくれず、転職や起業してしまうパターンです。これが結構よくある話です。

 では、どのように中小企業は取り組めばいいのか。そのキーワードは、「人間関係の構築」と「成長実感」にあります。ある建設業者では、上司や先輩社員が若手社員に積極的に関わることで、独自に“家族のような”人間関係を構築しています。また、若手社員が成長を実感できるシステムを実践しています。社員数は20人程度の企業ですが、若手社員が作成する日報に対して部門の先輩10人ほどがコメントを書き込むことで、新人が学んだことや悩んでいることを的確に把握し、成長につなげています。また、ある製造業者では、近隣の製造業者2社と協力し、3社合同で人材育成のための研修を実施しています。これは技術習得による成長の実感だけでなく、人間関係の構築にも良い影響を及ぼし、定着率の向上に加え社員全体の若返りにも成功しているそうです。

 別の企業では、作業マニュアルを動画にすることで効果的に社員を育成し、モチベーションも向上させています。このように、社員にとって居心地のよい人間関係を構築し、成長を実感できる教育システムを導入するなど、働きやすい環境をつくり上げることが企業に求められているのです。いつかではなく、今すぐに取り組むことが将来的に事業を継続するために必要だと思います。

●竹本幸史● 元㈱リクルート岡山支社長。現在は人材育成を主としたコンサルティング業務の㈱SWITCH WORKSを立ち上げ奔走。またリーダー養成スクール「法人会員制・定額制ビジネススクール」を開講中

本誌:2019年6月3日号 13ページ

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