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2016年、年頭にあたり

 また新しい年が始まりました。今年はリオ・オリンピックの年です。はるか遠いブラジルの地でのオリンピックですが、日本からの選手や観客と現地の日系人との交流はさまざまな場面で深まるでしょう。そして2年後には韓国・平昌で冬季オリンピックが予定され、4年後はいよいよ東京です。

 東京大会に関しては国立競技場の建設問題、エンブレム騒動等出鼻をくじかれるような問題が多々ありましたが、準備段階での舞台裏事情はともかく本番では日本のきめ細やかな大会運営が期待されます。

 こうした大規模な国際イベントにとって今や最大の懸案事項はテロ対策です。4年後の世界情勢はどうなっているのでしょうか。欧州、中東を舞台にした宗教的、政治的葛藤はより過激になるのか収束に向かうのか? 中国の覇権主義の行方は? 銃社会のアメリカの指導者はいったいだれに? そして日本はどんな国柄の国家になっているのでしょう? 

 楽観的な未来像を描くことは今の世界情勢からいってとても難しい気がします。個人的には4年後には71歳になっています。もちろん生きていればの話ですが……。

 それにしても今年も新年を迎えられたことはありがたいことです。2年前に亡くなった父は96歳のまま、ときどき夢に出てきては私をびっくりさせます。墓参りをさぼっているから向こうからやってくるのだと思いますが、父はもうこれ以上年を取りません。今年の夏には2歳若かった母が父の年を追い抜くでしょう。

 両親のことだけでなく自分にとって大切だったもの、音楽、絵画、文学、映画等、お気に入りの作品はどれもこれも幼年期から青春時代に出会ったものばかりです。つまりは半世紀以上前のものを再び追い求めているこのごろです。昔の映画はDVDで簡単に入手できます。日本の古典文学は、最近になってすばらしい現代語訳が施されていっそう身近な存在になってきました。

 こうして、未来を思い描くのではなく過ぎ去った過去にばかり目を向けることは一般に、後ろ向きで見苦しいことと考えられています。しかしながらこの先4、5年以内に人類が達成することなど、過去数千年に渡って積み上げてきた知恵の総決算に比べたらものの数ではありません。今年は古典の世界に静かに向き合っていこうと思います。

本誌:2016年1.1号 95ページ

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