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ディスポーザーの活用

 二十数年前大阪で暮らしていたころ、新築の賃貸マンションに転居したとたん、いろんな訪問販売業者が入れ替わり立ち替わりやってきました。どんな業者が来ようとにべもなくお引き取り願っていたのですが、一瞬の心のすきをついて私をその気にさせてしまった業者がいました。ディスポーザーを販売する業者です。

 ディスポーザーとはアメリカやカナダの一般家庭のキッチンで広く使われている生ごみ粉砕機のことです。シンクのごみ受けのところにミキサーのような機械を設置して、そこに溜まる生ごみを強力なモーターで粉砕しそのまま下水に流してしまう機械です。

 ずっと以前からカナダの親戚の家を訪問するたびにその威力と便利さに驚嘆していました。これこそ究極のキッチン設備だ!悪臭を放つ生ごみを週2回のごみ収集日まで家の中に置いておく必要がないし、水気の多い生ごみを焼却炉で燃やす負担も軽減するだろう、いいことずくめではないか、と。

 そんな思いがもともとあったところへ売り込みに来たのでいとも簡単に契約書にはんこを押してしまいました。大きな間違いでした。その苦しみはそのマンションを引き払うまでずっと頭痛の種になりました。 

 まずアメリカ製というその機械の値段が20万円近かったこと。アメリカではせいぜい3万円ぐらいの商品です。訪問販売詐欺にあったようなものですが自分からすすんで買ったのでそれは泣くしかありません。ひどく悔やまれたのは大阪市が条例でディスポーザーの設置を認めていないことを知らなかったことです。

 現在、日本のほぼすべての自治体がディスポーザーの設置を禁止しています。下水処理設備にとって粉砕生ごみが流入してくることは過度な負担になるからですが、悪徳業者は条例を無視して販売をしています。

 ところが最近、“下水は宝の山”という話をよく聞きます。汚泥から肥料やメタンガスを製造したり熱を地域暖房に使ったりと資源としての下水が脚光を浴びるようになってきました。

 そうであればディスポーザーの出番もあるのではないでしょうか。多くの労力と費用をかけて生ごみを焼却するよりも屎尿とともに下水に流す方が経済的にも環境的にもプラスになります。下水の資源化計画にはディスポーザー解禁もセットで検討されるよう自治体に要望します。

本誌:2015年6.8号 13ページ

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