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話の脱線防ぐには

 人前で話をするとき、結局何が言いたかったか分からなくなってしまう、そんな経験は有りませんか?それは、話にきちんと「幹」が無いからかもしれません。

 例えば、買ったばかりの洋服がセールになっていたのを見つけてすごく悔しかった、ということを伝えたい時に、「昨日従姉のお姉ちゃんと、買い物に行ったのよ。そうそう、そのお姉ちゃん、すっごい美人で身長も170㎝くらいあってモデルみたいなのよ、一緒に歩くのが嫌になっちゃうんだよね~、ほんとに親同士が同じDNA流れてる兄弟なのか!って恨めしくなっちゃうんだよね~。それでね、歩いてたらこの前買ったばっかりのワンピースがもう半額になってんの!だったらお店の人も言ってくれたら良いのにさ~!ひどくない?」――。こんな話し方になってしまうのです。聞く方は美人の従姉の話かと思って聞いていたら、急にワンピースの話が出てきて拍子抜けしてしまいます。

 会話であれば、そんな脱線も楽しみの1つ。でも、スピーチやプレゼンなど、目的を持って人前で話をするとき「で?結局何が言いたかったの?」と思われてしまっては残念です。話しながら「そうだ、この話が出たらついでにこの話もしておこう」と思いつき、横道にそれることが原因です。

 かといって、「話すべきこと」を一言一句台本にしてその通りに読み上げる、もしくは丸暗記するということもお薦めしません。丸暗記は、どこかで1つ抜けてしまったら最後、もうあとは真っ白になる悲惨な状況しか生みません。また、書き上げた台詞を読み上げると「話す」ではなく「読む」になってしまい、想いが伝わりにくくなります。読み上げながら「あれ?思ったような反応と違うぞ」と思ってしまうと、焦りが出て何を話したか覚えていない、と言うようなことになってしまったり、5分でと言われていたのに2分で終わってしまったり、逆に10分以上かかってしまってひんしゅくを買うことにもなりかねません。

 人前で目的を持って話をするときには根の張ったしっかりとした幹が大切。その根元には「この話で私が伝えたいこと」というテーマを書きましょう。次に話のゴールを描くこと。ちょうどクリスマスツリーの一番上にキラキラした星を乗せるように、木の一番先端に「この話を聞いた人にこんな感想を持ってほしい」というイメージを描きます。そして「最後にこの話をして締めくくる」というゴールをあらかじめ決めておきます。

 あとは枝を伸ばしていきましょう。ある勉強会であなたのお仕事についてお話しして下さいと言われたのであれば、
・小さな頃はどんな子供でどんなことが好きだったのか、そのことがいまの仕事とどう結びついているのか
・最初に就職した会社ではどんなことがあったのか。そこで学んだことは何だったのか
・起業するきっかけとなったことは何だったのか、苦しい時期をどう乗り越えたのか、それを通じて何を得たのか
・これからのビジョンは何なのか、そのビジョンを通じてどんな社会貢献ができるのか
と言ったところでしょうか。

 その枝に葉っぱとなるエピソードを付けていきます、小さな頃のあんな出来事やこんな出来事。会社に入ってからのあんな出来事やこんな出来事、といった具合にです。話すことに慣れていない方はいったん台詞を書いて台本にしても構いません。でも本番で手元に置いたり頭の中でイメージするのはこの一本の立派な木です。

 時間が足りなくなったと思ったら葉っぱを捨てたり、逆に思っていたより時間が余りそうなら葉っぱの内容を丁寧に話したり、この話題はあまり反応が良くないなと思えたら次の枝に移行したりします。そしてゴールが明確に見えていることが話し手のあなたの支えになります。時間指定がある場なら、残り3分になったらこの話題で締めくくるというゴールが有ることは大きな安心感となり「話の迷子」になることとを防止します。万一緊張して忘れてしまったとしても、用意していた締めくくりの話さえすれば、立派に形になっていて失敗にはなりません。

 人前で話をする時は、一本の木をイメージして。ぜひ試してみて下さい。

私のおすすめ本
カーネギー心を動かす話し方
デール・カーネギー著 ダイヤモンド社

 「人を動かす」などの著者として有名なカーネギー氏は一世紀以上前、話し方教室を運営することからスタートしました。今も世界中で行われているデール・カーネギーのトレーニングで副読本として使われているこの本は、人前で話すことがある全ての方に、まず読んでもらいたい本です。「人前で話すことが人生の自信につながる」というこの本に書かれていることはどんなに時代が変わっても変わらない真理です。

本誌:2014年7.14号 23ページ

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