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悲しみのニューオーリンズ

 超大型ハリケーン「カトリーナ」に襲われたニューオーリンズの惨状をテレビで見て腑に落ちないことがいくつかありました。メキシコ湾に面した海抜ゼロメートル地帯のニューオーリンズはもともとハリケーン銀座というべき土地なのに、今回のような事態は予測できなかったのでしょうか。

 もっと不可解なのは、救援活動が極めて貧弱かつ不適切に見えることです。高齢者、乳幼児を抱えたお母さん、身内が行方不明になって気が気でない避難民を500㎞も離れたテキサス州ヒューストンの体育館に移動させるという。日本ではせいぜい学区の体育館に避難させれば事足ります。

 テレビを見ていると、崩壊した老人ホームに取り残されたお年寄りが三日も待たされたあげくの果て、テキサス行きのバスに乗せられていました。出発前に子供や親戚の人が駆けつける様子もなく絶望のうちに人生の最終章を閉じようとしている悲しい光景です。

 ニューオーリンズといえば、アニマルズの名曲、「朝日の当たる家」が思い起こされます。貧しい少女の行き先は娼婦の館、やさしいお母さんは私にブルージーンズを縫ってくれた、恋人はギャンブラー、上機嫌なのは酔っぱらった時だけ。今や人生は終りに近づいた、ニューオーリンズに帰って残りの日々を「朝日の当たる家」で過ごしましょう‥。

 ニューオーリンズに再び軽快なジャズの音色が飛び交う日々がくることを祈らずにはいられません。

本誌:2005年9.11号 16ページ

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