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連載記事杉山慎策の経営学考察

国富論を読む8~自然価格とEVA~

 スミスは第6章で「自然価格」と「市場価格」という概念を紹介する。自然価格とは、労働、資本、土地の提供者に適正な報酬を支払うための価格であり、市場価格は供給と需要の影響を受けて変動する実際の取引価格である。理論上市場価格と自然価格は長期的には収束し一致する

 自然価格は3つの要素―「労働」、「資本」、「土地」―に分解される。これらの要素は次のように説明される。

 ①労働:労働者への賃金は、彼らの生活を維持するための最低限の収入を意味する。また、この賃金は市場競争や労働の需要と供給に応じて変動する。専門知識が必要な労働は、より高い賃金が要求される。

 ②資本:資本家への利益は、資本を提供しリスクを負うことに対する報酬である。利益率は産業や地域によって異なるが、競争が存在すれば利益は徐々に減少する。

 ③土地:地代は、土地を所有することに対する報酬である。地代もまた、土地の需要と供給に応じて決まる。都市部のような高需要の土地は、より高い地代を生む傾向がある。

 市場価格は需要と供給のバランスによって決定される。

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本誌:2024年6月24日号 17ページ

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