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連載記事社説

政党にとっての「意志」とは

 つい先日まで「広島サミット解散か」というムードが高まっていたのだが、ここ数日で風向きががらりと変わった。衆議院の一票の格差是正に伴う「10増10減」で新設される東京28区をめぐり、自民党と公明党の協議が決裂。公明党は予定していた同選挙区への候補者擁立を見送る一方、都内の全選挙区で自民党候補への推薦を見送ることになった。

 今回の騒動は、先の統一地方選、衆・参の補欠選挙で日本維新の会が躍進し、次期衆院選では公明党が議席を持つ大阪などの小選挙区に候補者を擁立する方針と伝えられることなどが背景にあるとみられる。1999年に自公政権が誕生して間もなく四半世紀。「平和」を看板とする公明党にとっては、安倍政権以降の安全保障政策、憲法改正などには支持者の反発が強く、自民党を支援する保守派にとって公明への「譲歩」には元々複雑な想いがあった。結束は徐々にほころびが生じ、不協和音が一気に表面化した格好だ。公明党の石井啓一幹事長の「自公の信頼関係は地に落ちた」という交渉決裂後のコメントには、両党の蜜月時代の終わりを告げるに十分なインパクトがあった。

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本誌:2023年6月12日号 22ページ

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