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連載記事マネーの道しるべ 65

投資信託の販売手数料は必要なのか

  • 森康彰氏

 昨年12月、ネット証券において投資信託の販売手数料が全面的に無料となりました。これは、2016年度に金融庁が金融行政方針の中で指摘したように、主要銀行及び地域銀行において、09年から15年にかけて平均およそ8兆円、累計およそ55兆円を販売しておきながら、投資信託の保有残高が23兆円から22兆円に減っていたことが背景にあります。販売した55兆円はどこに消えたのか。もちろん、消えてはいません。7年間で売ったり買ったりを繰り返し、その販売手数料で銀行は年間3000億円以上の利益を上げ、7年間で2兆円以上の利益を上げたにもかかわらず、預かり残高は1兆円減ったということになります。これを制度的に防ぐためには、販売手数料の無料化は有効でしょう。なぜなら、販社が回転売買しても手間ばかりかかって、利益にならないからです。

 しかし、個人がネット証券で数千もある投資信託の中から自分に合った最適な商品を見つけ運用するのも困難です。販売手数料を取ることに対して「目利きとなって商品を選択し、難しい商品説明をして販売している以上、手数料はいただいて当然」といった見解を示す地銀もあります。販売手数料は金額の過多にかかわらず、一定金額かかります。仮に3.3%の販売手数料であるとすれば、100万円投資信託を買うと3万3000円ですが、1億円では330万円になります。これだと販売手数料が目利き料、説明料という説明では、なかなかお客様に受け入れてもらえないのではないでしょうか。やはり、販売手数料を無料にして商品の選定、説明に対して相談料を頂くという方がお客様の納得を得られると思います。

 2021年初旬には運用大手のフィデリティが、販売手数料を無料にし、運用助言に対して課金するサービスを日本で開始するようです。個人投資家に対してロボットアドバイザーなど最新テクノロジーも導入したサービスです。そうなった時に、お客様がどちらのサービスを選ぶのかは明白です。私たちe.K.コンサルタントもすで投資信託の販売手数料を無料にしています。運用助言に対してきちんとお金を頂けるよう、地域に合ったサービスを確立していこうと思います。

●森康彰●2年間、保険代理店に勤めた後、2008年に保険コンサル会社㈲e.K.コンサルタントを設立。2014年に東京支社を設けるなど、首都圏へも業務を拡大中。 敬愛する人物は、稲森和夫、立川談志。

本誌:2020年7月27日号 13ページ

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