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特許権の侵害訴訟制度の変更

 Q 特許権侵害に関する裁判が、改善されるのですか。

 A  特許権の侵害に関する訴訟において、証拠収集に関する査証制度の創設と、損害賠償額算定方法の見直しと、を含む改正特許法が近く施行される予定です(査証は施行日未定、損害賠償額算定方法は令和2年4月1日施行)。

 査証は、特許権の侵害の可能性がある場合、中立な技術専門家が、被疑侵害者の工場等の現地に立ち入り、特許権の侵害立証に必要な調査を行い、裁判所に報告書を提出することで、特許権者の立証を容易にするものです。

 損害賠償額算定方法の第1の見直しは、特許権者の生産・販売能力(生産等能力)を超える侵害行為に関し、侵害者に実施許諾していたなら得られたであろう金銭(ライセンス料相当額)を損害として請求可能になる点です。損害賠償額を推定式「(損害額)=(侵害品の譲渡個数)×(特許権者の1個当たりの利益)」により算出する場合、(侵害品の譲渡数量)は、特許権者の生産等能力の範囲までしか認められません。今回の改正により、侵害品100個が販売され、このうち特許権者が40個しか生産等能力を持っていなかった場合には、40個分の前記推定式により算出された額と、60個分のライセンス料相当額と、の合計額を損害として請求可能になります。損害賠償額算定方法の第2の見直しは、ライセンス料相当額を損害賠償額とする場合、特許権侵害があったことを前提として交渉した場合に決まるであろう額を考慮できることになる点です。

本誌:2020年2月10日号 22ページ

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