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連載記事山田響子の魅力を引き出すコミュニケーション術

口コミづくりのポイント

 あなたがもし、お客様に何かを売ったり、サービスを提供しているとするならば、欲しくてたまらないものがあるのではないでしょうか。それは、お客様からのご紹介やうれしい口コミです。紹介されたお客様はセールスいらず。最初からあなたのことを信頼してくれています。また情報があふれる現代だからこそ、検索してもこの情報が本当に正しいのか確信が持てません。だからこそ、信頼できるなと思っている人から「あそこはお勧めよ」「あれは確かよ」と言われることほど強力なセールスツールはありません。

 では、どうすれば紹介してもらえるのでしょうか。どうすればうれしい口コミを広げてくれるのでしょうか。大事なポイントはいくつかあると思います。よく言われることは「満足」以上の「感動」があったとき口コミが生まれるというものです。感情を伴った経験はより強く記憶に残ります。また、本当に良かったんだ、心が動いたんだなということが言葉以外の表現で聞き手に伝わるので、聞き手により強いインパクトを与えることができます。「満足」以上の「感動」をどのように生むかということも口コミづくりの大事なポイントと言えるでしょう。

 しかし「価値を伝える言葉」の専門家である私は、あえて他の側面からこのテーマについてお伝えしたいと思います。「思考」していることがうまく「言葉」にならないということはないでしょうか。感動的な映画を見た時「とにかく良かった」「絶対見たほうがいい」ということはできても、「じゃあどこがどんなふうに良かったの?」と聞かれると言葉に詰まってしまうような時です。

 感じていることはあるはずなのに、それがうまく言葉にならない。思考の言語化ができていない、ということは私たちの生活の中ではよくあることです。感じていることが適切な言葉で表現された時、人は「分かった!」という状態になります。あなたのお客様もこの「感じていることはあるけどうまく言葉にできない」状態であることが多いのです。いいなと思っているから選んでいるし、リピーターにもなっている。けれど、どこが気に入っているの?と言われるとうまく言葉にできない、だから人にも勧められない、という状況です。

 だから私たち提供側は、意識してお客様の感じていることを、適切な言葉にしてお客様の思考の中に入れてあげることが大切です。感想や意見を尋ねた時に、最初に口にする言葉はお客様の核心ではないことがほとんどです。「求められていることに答えなくては」という意識が働き、ほとんどの方がそれらしいことを口にされます。この段階ではお客様も正確に自分の気持ちを言語化していないことが多いのです。単に近いからとか、安いから、などは本音かもしれないけれどうれしい口コミとは言えません。居心地がいい、提供者の人柄が好き、などもうれしいけれど影響力を生む口コミとまでは言えません。

 そこで私たち提供側からお客様の気持ちを言語化してあげる作業が必要です。来た時よりこんなふうになっていらっしゃるように見受けられます。継続した効果がこんなところに出ているのではないですか?とお客様の変化をこちら側から伝えたり、ありがたいことに多くの方からこんなところを評価していただいているんですよね、と他のお客様の評価を伝えたりすることで、「そう言えばそうだ」と自分では言葉にできていなかった本音に気づいていただくことができるのです。

 まずは、提供側が選ばれる理由を言葉にしておくことが大切です。こんな口コミをお客さまが知人の方に伝えてくれたら最高だとイメージし準備しておくのです。その際お客様が知り合いに伝えられる言葉になっているか、お客様目線になって考えてみてください。「上質なリラクゼーション空間」のような言葉は提供者側のこだわりであって、その言葉を本当に知り合いに言うのか、ということです。

 どんなふうにあなたのことを紹介してくれたらうれしいですか?その最高の口コミをお客様に言葉にしていただくために、まずは提供者側が価値を言葉にしておきましょう。

本誌:2020年2月10日号 21ページ

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