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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

老いの加速を楽しむ(上)

 カナダの従姉妹たちとはしょっちゅうメールのやりとりをしていますが、ときおり2、3週間沈黙が続くことがあります。私は“筆まめ”なのでメールをもらうとすぐその場で返信します。辞書も見ないで作る英作文なのでスペルの間違いもあるし、センテンスのつながりもぶちぶち途切れてまるで箇条書きのような拙さですが、無事に生きていることさえ伝わればそれで十分です。

 ところがすでに80代半ばに差しかかったカナダの従姉たちはときおり私からのメールに返事をくれないことがあります。とくに返事が必要なわけではないので構わないのですが、こちらとしては「ひょっとして家族か親戚のだれかが調子悪いのかなあ?」と不安になるものです。

 新年以来はやひと月になるというのに従姉のキャスリーンからも従弟のブルースからも便りが返ってこないので、思い切って別の従姉ヨリコに電話してみました。「みんな元気よ、気温がマイナス30度の日が続いて家から出られないので腐っているのよ」とのこと、私は安心して「今年も日本かカナダか、それともハワイあたりで会えたらいいね」と言って電話を切りました。

 すると翌日、ヨリコからメールが届きました「ゲス ホワット! 昨日お前と電話したあとキャスリーンやブルースに電話して、2月中旬に総勢9人で2週間ハワイに行く話をまとめたのよ、コウジロウも都合がつけばぜひ!」いやはや決断が速すぎます。

 今度は私が沈黙する番です。中国発の新型肺炎がどうなるのか分からないし、そもそもハワイは旅費が高い。でもワイキキの浜辺を見下ろすホテルのオープンテラスで遅い朝食を従妹たちとゆっくり食べるのも悪くないなあ、高齢の従姉たちとのお別れはいつきてもおかしくない。無理してでも今会っておくべき!

 私も行くことを伝えたらみんな大喜びの返信をくれました。「お前がいい提案をしてくれたから決断できた。実は前々からみんなでハワイに行こうと思案中だったの」とのこと。早々自分のためのホテル探しを始めてハワイのホテル代の異常な高さには参りました。つくづく安くて快適な日本のビジネスホテルがありがたく感じられます。(続く)

本誌:2020年2月10日号 14ページ

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