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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

大阪城エレベーター不要論に思う

 大阪G20サミットはテロ等深刻な事件もなく無事終了し、ホスト国日本の安倍さんのごきげんな顔が目立ちました。そんな安倍首相が夕食会の席上で「大阪城復元時にエレベーターをつけたのは大きなミス」と発言し賛否両論物議をかもしました。

 首相は大阪城が明治維新の混乱の中で大半が消失したことにふれ、天守閣は90年前に16世紀の姿に忠実に再現されたことを誇らしく語り、ついでにジョークの意味で「エレベーターは余計だった」と発言したのでしょう。各国首脳は安倍さんのお寒いジョークを理解できたでしょうか。

 はたして、国内でも「ユーモアのつもりかもしれないけどセンスがない」、「バリアフリーの考えに反する」など論争が起きました。ネットでは首相に忖度する意見が目立ちましたが、私は「またか」とこの種の議論に残念な気持ちになりました。日本人は自然や古い町並みを平気で破壊するくせに、峨々たる名山にケーブルカーなど設置する話が出ようものなら猛反対が起きます。

 また環境省の杓子定規な環境保護政策は一見正論であるように見えるけれどそこに弱者排除の無神経さがあるように思えます。日本が世界に誇る信州・上高地の例を見てみましょう。上高地は有名な河童橋から奥へ奥へと梓川の渓流沿いに遊歩道が整備されています。しかしその絶景は足腰の強い人しか見ることがままならないのです。穂高連峰への登山基地がある横尾山荘まで登山客も約10㎞の平坦な道を重いリュックを背負って歩かなければなりません。

 ところがここは、沢の幅が広く実は立派な道路も完備しているのです!せめて電動の小型バスとかカートを足腰が弱った老人や障がい者のために走らせてくれないかといつも思います。では立派な道路はだれが使うのか?環境庁の職員や関係者(お友達も含めて)だけが特権的に使っています。それが悪いとは言いません、その道路を弱者にもオープンにしてだれもが世界有数の自然美を見られる手段にしてほしいのです。

 ヨーロッパを代表する名山、モンブランでは富士山より高いエギーユ・デュ・ミディまでケーブルカーで20分で登れます。マッターホルン然り。そこには本格的なレストランやカフェがあります。日本の十年一日の硬直した、進歩のない自然保護に隠れた弱者排除論争には辟易です。

本誌:2019年7月15日号 15ページ

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