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文化芸術に関する意識調査~岡山県vs香川県

 令和元年は丁度瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)が開催される年に当たる。今年の後半には岡山芸術サミットも予定されている。3年毎の芸術の祭典である。「経済は文化の下僕である」というのは6年前の就実学園の創立110周年記念イベントとして開催した就実グローカルフォーラムにおいての福武總一郎氏の発言である。確かに経済発展そのものの目的は只単に豊かになることではなく、その経済的豊かさを活用して「何をするか」が重要となる。

 地域の活性化という視点から見て福武氏は早くから瀬戸内海の島と海に着目し、アートの力を活用して衰退の一途を辿っていた島を活性化させることに成功した。アートに集中させた活性化戦略であり、「選択と集中」の成果である。あれもこれも手掛けることで離島が活性化したのではない。資源も限られている行政こそ「選択と集中」戦略を採用すべきである。今回は文化芸術に関する意識を、岡山と香川で比較してみた。

 この1年間で文化芸術鑑賞をしたかどうについて調べると、岡山は48.6%、香川は68.7%であった。香川の方が岡山を約20ポイント上回る結果となった。鑑賞の内容については、岡山では「映画」60.2%、「美術(絵画・彫刻・写真・書道など)」42.2%、「ポピュラー音楽(ロック・ポップス・ジャズ・歌謡曲など)」30.9%の順に上位を占めた。香川では「美術(絵画・彫刻・写真・書道など)」59.0%、「映画」44.8%、「地域の祭り等の伝統行事」34.7%の順に上位を占め、瀬戸芸の影響からか美術系が岡山と比べて多い結果となった。

 過去1年間の文化芸術活動の経験について、「経験した」は岡山では12.7%に対し、香川は40.5%であった。岡山に比べ香川の方が、3倍以上多い結果となった。

 文化芸術活動に過去1年間に参加した内容について、岡山は「美術(絵画・彫刻・書道など)」29.2%、「クラシック音楽(器楽・声楽など)」18.5%、「ポピュラー音楽(ロック・ポップス・ジャズ・歌謡曲など)」16.9%の順に上位を占めた。香川では「地域の祭り等の伝統行事」33.3%、「美術(絵画・彫刻・書道など)」24.1%、「生活文化(作動・華道・盆栽など)」22.0%の順に上位を占めた。香川は地域の祭りや伝統、生活文化を重んじる傾向が岡山より強い傾向がある。

 関心がある項目について、岡山・香川ともに「映画・その他のメディア芸術(マンガ・アニメ)」、「ポピュラー音楽(ロック・ポップス・ジャズ・歌謡曲など)」が同様に上位を占めている。「郷土料理(うどんなど)」と「地域の祭り等の伝統行事」は香川の方が10ポイント以上高く、地域や郷土を大切にする傾向が窺える。「選択と集中」することで香川は「うどん県」として全国的に浸透している。岡山は多様な食材に恵まれているかもしれないが全国的に知名度のある食文化はない。

 地域における「文化芸術の振興」について、「とても重要である」と答えた岡山県民は22.5%、香川県民は47.4%と、2倍以上の差が開いている。瀬戸芸の成功もあってか香川県民のほうが文化芸術の振興についての意識は高い。

 岡山には日本で最初の西洋美術館である大原美術館がある。直島は香川県とは言え、宇野港から20分の距離にあり、世界に誇る地中美術館がある。美術や文化の教育には早期の教育が欠かせない。岡山県の小中学校の全児童・生徒は少なくとも年に一回は大原美術館や地中美術館に行くべきである。

 昨年大きな災害があったとは言え岡山は経済や自然に恵まれている。文化面においても「選択と集中」に欠けているのではという危惧を持つのは筆者だけではないと思う。

本誌:2019年7月15日号 13ページ

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