WEB VISION OKAYAMA

連載記事

慢性疾患と薬

 60歳、70歳と、年を重ねると体にはさまざまな変化が起きます。体重は増加する一方だし、血圧、コレステロール、血糖、尿酸等あらゆる検査項目が正常値を上回ってきます。医師からは体重を二十歳のころに戻しなさいと指導され、慢性疾患に対しては病名ごとに薬が処方されます。

 私の場合、若くてほっそりした体つきだったころからすでに中性脂肪の値が異常に高く、それは超肥満体型の現在も変わっていません。病院に行くたびに薬を勧められますが、何だか体に悪いような気がして処方をお断りしています。

 たしかに医師が言うとおり、腎臓や肝臓疾患、動脈硬化、糖尿病などはどれも静かに進行するので、症状がないからといって放置するのは命取りになるのかもしれません。脂質異常(高コレステロール血症)を放置しておくと動脈硬化を起こし、やがては心筋梗塞とか脳卒中で倒れるという経過をたどるのでしょう。

 しかし現在68歳の私の場合、50年もの長い年月を中性脂肪やコレステロールが高いまま過ごしてきたのにもかかわらず、どこで何度検査しても動脈硬化を指摘されたことはありません。血液ドロドロなのに血管はしなやかなようなのです。

 高脂血症の人が薬で数値を下げなければならないとされる理由は、大規模な調査の結果、薬の効果が立証されているからでしょう。しかしだからと言って動脈硬化を引き起こしていない老人が今さら薬を飲む意味があるのかどうか、むしろ副作用によるデメリットの方が大きいのではないか、と私は疑問に思います。

 医師はこうした疑問に対し「いやこれこれの理由で飲む意味があります」などとは答えてくれません。優しい先生は「まあ様子をみましょう」と言われるし、手厳しい先生は不機嫌になり「私の指示を聞けないあなたがこの病院に来る意味ありますか?」と匙を投げつけてきます。

 私の父は人工透析に頼りながらも96歳の人生をまっとうしました。父の70歳ごろの手帳が遺されていたので読んでみて思わず笑ってしまいました。腎臓が悪化して医師から大量の薬を処方されていたころの日記です。「こんなに何種類もの薬を飲んだら体に悪いような気がするから半分捨てた」。慢性腎不全にもかかわらず100歳近くまで生きた父には賢明な判断力があったのです。

本誌:2017年6.5号 12ページ

PAGETOP