WEB VISION OKAYAMA

連載記事

[知的財産] 公報掲載の新規性喪失例外適用

Q : 公報掲載の新規性喪失例外適用

風力発電用のプロペラを開発し、その斬新な形状のため意匠登録出願しました。その後、高効率であることがわかりましたので、特許出願したいと考えています。既に意匠登録され、意匠登録公報が1 ヶ月ほど前に発行されました。意匠登録公報に掲載されて新規性を失ったことに関し例外規定の適用を受けて特許出願することができますか。

A : 公報掲載には適用不可

これまでない新規な発明に特許権は与えられるものですので、公報掲載や販売等により新規性を喪失した発明については、その後に特許出願しても特許されないのが原則です。しかし、① 特許を受ける権利を有する者の意に反して新規性を喪失した場合か② 特許を受ける権利を有する者の行為に起因して新規性を喪失した場合かのいずれかであれば、一定の条件においてその発明が新規性を喪失しなかったとして特許を受けることができる例外規定( 新規性喪失
例外規定) が設けられています( 特許法第3 0 条)。

意匠登録公報にプロペラが掲載されて新規性を喪失したことは、貴方がそのプロペラについて意匠登録出願したためになされたものですので、上記のうち② 特許を受ける権利を有する者( 貴方) の行為( 意匠登録出願) に起因して新規性を喪失( 意匠登録公報へのプロペラの掲載) した場合に該当して、一見したところでは新規性喪失例外規定の適用を受けられそうです。しかし、特許法には、発明、実用新案、意匠又は商標に関する公報に掲載されて新規性を喪失した発明については新規性喪失例外規定の適用を受けられないと明記されていますので、このプロペラをこれから特許出願することはできません。

このようにご自身の出願により公報が発行されることで、公報に掲載された内容が新規性を喪失し、その後のご自身の出願による権利取得が阻害される危険性があります。ご質問のように対象物が同じ場合はもちろんですが、関連性のあるものも注意が必要です。例えば、基礎発明について特許出願し、それから1 年6 月後にそれに関する公開公報が発行された後、改良発明について特許出願すると、公開公報の基礎発明と改良発明とが近い内容との理由から改良発明の特許取得が困難になることもあります。ご自身の出願が後の出願を邪魔しないように出願のスケジュールをうまく管理する必要があります。

笠原特許商標事務所
弁理士・所長
笠原 英俊氏
岡山市北区野田2-7-12
TEL086-245-0440

本誌:2014年12.1号 34ページ

PAGETOP