WEB VISION OKAYAMA

連載記事

連想

 知覚品質の重要性と一旦知覚品質が形成されるとなかなか変更するのは時間がかかることを述べた。次に、ブランドについてもう一つの重要な概念である連想について考えてみたい。連想とは消費者がそのブランドについて連想する全てのものを言う。例えば、マクドナルドと言えば、「ビッグマック」、「フィレオフィッシュ」、「ドナルド・マクドナルド」、「早い」、「安い」、「ドライブスルー」、「おもちゃ」、「マックカフェ」などが連想される。

 連想はあくまで消費者が勝手に想像することなので、消費者自身が当該ブランドについて体験したことだけでなく、全く体験したこともないことまでを含む。一時期マックのバーガーにはミミズが使用されているとまことしやかに騒がれたことがあった。海外で子供を育てた経験のある方にはマクドナルドと言えば「子供の誕生会」が真っ先に連想される方も多いと思う。マクドナルドでは子供の友達やその母親などと一緒に誕生パーティがよく開かれる。

 岡山の連想を岡大の県内・県外の出身別の学生で調査したことがある。県内の学生は、①吉備団子、②倉敷美観地区、③白桃、④桃太郎、⑤晴れの国、⑥マスカット、⑦後楽園、⑧ジーンズ、⑨うらじゃ、⑩瀬戸大橋がトップ10であった。県外の学生は①吉備団子、②白桃、③桃太郎、④晴れの国、⑤マスカット、⑥後楽園、⑦倉敷美観地区、⑧自転車、⑨都会、⑩平地を上位にランクしている。ほぼ同じような連想を学生は得ているようである。県内の学生が倉敷美観地区を2位に挙げているのに対して、県外の学生は倉敷美観地区を7位にしている。また、後楽園は県外・県内の学生もトップ10には入っているがトップ5には入っていないのが気になる。金沢大学の調査はしていないが、恐らく兼六園は上位に入っていると考える。岡山の誇る二大観光資源のコミュニケーションの在り方は検討すべきではないかと思っている。また、岡山の経済にとっても、日本で3番目に開発された水島コンビナートは重要である。水島をどのように発信すべきかについても検討の余地があると考える。

 連想はその広がりの幅と深さが重要である。前述の連想のうち、吉備団子、白桃、マスカットは「食べ物」に関係する。吉備団子、白桃、桃太郎、後楽園、倉敷美観地区、うらじゃは「歴史」に関係する。晴れの国、瀬戸大橋、自転車、都会、平地は「岡山の地域の特徴」を表している。連想から言えることは、岡山は「歴史があり」「食べ物の豊かな」「晴れの多い平地の都会」ということなのであろう。

 岡山のブランド戦略を考える上で、「桃太郎」「吉備団子」「白桃」は重要な歴史的資産である。岡山市の大通りが「桃太郎通り」と命名されたり、岡山市が「桃太郎」を活用したPR展開をしているのも納得できる。香川県を「うどん県」としてPRする随分前に「桃太郎」を名誉県民にしたらどうかと提案したことがある。理由は簡単で、岡山の観光資源の最大の功労者は「桃太郎」であるからである。歴史の遺産はかくも大きいのである。「桃太郎」の価値は恐らく香川県にとっての「うどん」以上である。岡山は恐らく日本の中で最も安心・安全な土地であり、豊かな自然と歴史に恵まれた文化の栄える土地なのである。これを上手に活用することが地域ブランド構築には重要である。勝手な思いつきで展開してもなかなか消費者の抱いているイメージを変えることはできない。

 ブランドと言うのは過去から現在までのいろいろな連想のいっぱいつまった風船のようなものである。気を付けなければならないのはほんのちょっとした経営ミスで風船はあっという間に弾けてしまう。営々として築いてきたブランドが一夜にして破壊されたことを私たち記憶していると思う。日本を代表する雪印というブランドは「牛乳」「チーズ」「北海道」「スキー」「オリンピック」など素晴らしい連想を持っていた。ところが脱脂乳の黄色ブドウ球菌が原因の集団食中毒事件を起こし名門ブランドは一夜にして崩壊した。会社のトップの対応如何で解体・再編という事態は避けられたのではないかと思われる。ブランドは対応を誤れば一夜にして崩壊する可能性があることを肝に銘じておくべきである。

本誌:2014年3.3号 23ページ

PAGETOP