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[退職金]  社会保険料を退職金と相殺

Q 今度、従業員が退職することになりました。私傷病で長い間休職していたのですが、会社に迷惑をかけるという理由で退職を願い出たのです。惜しい人材ですが、本人のことを考えるとゆっくり静養した方がいいのかと思い承諾しました。ところで、社会保険料が未納になっているので退職金と相殺しようと思うのですが、問題はありますか。

労使協定の締結

A よく聞く話です。退職金だけでなく賞与との相殺とかもあるようです。ここで、法律の確認をしておきましょう。まず、健康保険法では、「事業主は,被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては,被保険者の負担すべき前月分の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては,前月及びその月分の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。②事業主は,被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては,被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。(第167条)」また、厚生年金保険法にも同様の趣旨の条文第48条があります。要は、「前々月以前の保険料は給与からは控除できないですよ。」また「賞与に関する保険料は賞与からだけ控除できるのですよ。」といっているのです。通達でも、「報酬より控除することを得るは前月分の保険料に限る。特殊の事情により控除せざりし保険料については、事業主は別途請求すべきものである(保発第112号)。」 といっています。
では、前々月以前の保険料はどのようになるのでしょうか。通達では、「前々月の保険料を事業主が納付した場合、被保険者の負担すべき保険料については、被保険者は、事業主に対し、私法上の債務を負う。その支払い方法は話合で決めることになる。」つまり、事業主が立て替えている保険料は、一般債権となるということです。すると、労働基準法の「全額払いの原則法(第24条第1項)」から、給与から控除はできないということです。ただし、同じ労働基準法第24条第1項但し書きに「当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。」とされているので、協定があれば控除してよいということです。もし、その協定がないのであれば、労使と話し合い協定を締結されることをおすすめします。

双田社会保険労務士事務所所長
双田 直氏
岡山市北区野田4-1-7
TEL086-246-6064

本誌:2013年6.17号 21ページ

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