WEB VISION OKAYAMA

連載記事

[知的財産]  意匠登録後も非公表に

Q :弊社は、これまで新しく考え出したデザインを意匠登録
して他社の模倣を防ぎ、有利に事業展開してきました。しかし登録されるとそのデザインが意匠公報によって公表されて、弊社のデザイン動向を他社が知って困ることがあるのですが、何か良い手はありませんか。

A : 秘密意匠による登録を検討すべき

意匠登録出願については実体審査がされ、登録が認められれば( 登録査定)、登録料を納めることで意匠登録( 意匠権設定登録)されます。この意匠登録から1 ヶ月程度で、登録内容が掲載された意匠公報( インターネット等でも閲覧可能) が発行されます。通常、意匠公報に掲載される内容は、登録番号、出願番号、出願日、意匠権者、デザインの内容( 具体的には、図面、写真、見本等の内容等) 等が含まれますので、意匠公報を見れば意匠権者が将来採用する可能性のあるデザインが知ることができます。
このような問題を回避するため、意匠登録されても3 年を限度としてデザイン内容を秘密にできる秘密意匠制度が設けられています。意匠登録出願人が、その出願の意匠を秘密にすることを請求すれば、前述の意匠公報には、出願番号、出願日、意匠権者等の書誌的な事項は掲載されますが、デザイン内容は掲載されません( デザイン内容は、秘密にする秘密期間が経過後に意匠公報に掲載されます。)。

この秘密にする請求は、意匠出願時又は第1 年分の登録料の納付時のいすれでも可能です。このため、出願時に想定していた製品の販売開始時期がその後に延期されたり、出願時に想定していたより早期に意匠登録される等で製品販売開始よりも意匠公報が先に発行されそうな場合には登録料納付時に秘密意匠とすることを請求できます。

この秘密意匠は他社からデザイン内容がわからないため、差止請求をする場合には、それに先立ち、デザイン内容を示して警告することを要します。また、秘密意匠の意匠権を他社が侵害した際の損害賠償請求をしようとする場合には、侵害行為に過失あったと推定されませんので、権利者が他社の故意や過失を立証する必要があります。

このように秘密意匠は、通常の意匠権に比し権利行使時に制限が課されますが、流行性のあるデザインを製品販売まで他人に知られず権利化できる魅力のある制度ですので、ぜひご検討下さい。

笠原特許商標事務所
弁理士・所長
笠原 英俊氏
岡山市北区野田2-7-12
TEL086-245-0440

本誌:2013年1.21号 21ページ

PAGETOP