WEB VISION OKAYAMA

連載記事

[知的財産] 物品の部分に関するデザインの保護

鋏の刃の先端部分の形状を可愛く工夫しましたが、先端部分以外のデザインは様々に変更可能です。大切な先端部分の形状が同じような鋏であれば、それ以外の部分のデザインを問わず権利を主張したいのですが・・・。

A : 部分意匠による登録を検討すべき

意匠登録によって得られる意匠権は、意匠登録したデザインと同一及び類似するデザインの物品に効力が及びます( 例えば、同一及び類似するデザインの物品を業として製造や販売等することを独占できます。)。従って、先端部分が可愛くデザインされた鋏を貴方が意匠登録すれば、その登録した鋏と同一又は類似するデザインの鋏については原則的には貴方の独占権として主張できます( 例えば、貴方が登録した鋏とそっくりのデザインの鋏を他人が業として製造や販売する行為を禁止できます。)。しかし、意匠権が及ぶか否かの基準である「登録した鋏とデザインが同一又は類似か否か」は、登録した鋏全体のデザインに基づき判断されます。このため先端部分以外のデザインが異なることで、貴方の登録した鋏とイメージ( 美感) が異なる鋏については、デザインが類似しないと判断されて貴方の権利が及ばないおそれがあります。つまり、物品の部分的な特徴点が、物品の全体として見ると評価が埋没してしまう可能性があるわけです。

このため特徴的な部分のデザインをうまく保護する部分意匠制度が設けられています。貴方の鋏については、可愛く工夫した先端部分の形状がデザインの特徴点ですから、この先端部分のデザインを部分意匠として登録することで、登録した先端部分のデザインと同一又は類似する鋏については、先端部分以外のデザインが異なっても権利を主張し易くなります。なお、登録した特徴的なデザインが、物品全体における位置、物品全体における相対的大きさ、そして物品全体において占める範囲等も部分意匠の権利範囲を解釈する際の重要な要素です。

部分意匠の意匠登録出願では、物品全体の中でどこが部分意匠として登録を受けたい部分かを明確に特定する必要があります。出願に際し図面を用いてデザインを表現する場合であれば、部分意匠として登録を受けたい部分( 鋏の先端部分) を実線とし、それ以外の部分は点線で示すこともできます。

笠原特許商標事務所
弁理士・所長
笠原 英俊氏
岡山市北区野田2-7-12
TEL086-245-0440

本誌:2012年12.10号 37ページ

PAGETOP