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天皇の“権能”

 昨年12月中旬、突然日本を訪問した中国の習近平国家副主席が天皇と会見することになった件について、天皇の国事行為との関連で大論争が起きました。

 結局、会見はなごやかな雰囲気のうちに終わったそうですが、この騒動を通じて提起された問題は大きいと思います。

 天皇会見をまさに政治利用した中国。沖縄の基地問題はそっちのけにし、中国を下にも置かぬもてなしで同盟国アメリカにボディーブローを食らわす日本。

 冷静に考えれば十数億のマーケット人口を抱える中国との関係は対米関係よりはるかに重大で、ここで中国の要望に従ったことは正解だったかもしれません。

 さて天皇の国事行為について、テレビや新聞で憲法第4条が何度も引用されました。その中で「おやっ?」と思ったのは条文の中の「(天皇は)国政に関する権能を有しない」の部分。何人かのテレビ・コメンテーターが「権能」を「機能」と発言。そして会見翌日の山陽新聞朝刊にも誤って「機能」と印刷されていました。

 早々読者相談室に電話して間違いを指摘したら、記事は共同通信の記事をそのまま掲載したとのことで、共同通信の記者は思い込みで「機能」と書いてしまった、指摘された読者によろしくとのことでした…というような説明がありました。

 果たして私の他に全国でどれだけの人が記事の間違いに気づいたのか分かりませんが、専門家も言論人も憲法の条文なんて本気で読んでいないことだけはよく分かりました。

 それにしても天皇とは何と過酷な存在、あるいは職業というべきかと思います。定年がない、プライバシーがない、ふらっと町に出かける自由もない、国事行為だけでなくありとあらゆる公務が待っている、かててくわえて皇位継承問題も頭痛の種。両陛下はこれらすべてに耐え、なおかつ国民のために祈っておられる…

 天皇の政治利用などもってのほかです。

本誌:2010年1.1号 84ページ

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