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原種

 皇室にはいろいろな伝統行事が千何百年も続いていますが、カイコを飼って絹糸を紡ぐのもそのうちの1つです。

 少し前、皇室番組で皇后様が蚕の世話をされる様子が放映されました。美智子様が蚕のお世話をされるようになったころのエピソードに私はすっかり感激してしまいました。

 皇室に伝わる蚕は古い品種で、糸は細く、生産性が上がらないので廃棄し、現代の蚕に切り換えようという話が養蚕所で持ち上がった時、美智子様が強く反対され、古代の蚕の命は繋がったとのこと。

 後にこの古代の蚕の大切さをみんなが思い知らされることになったとレポーターが伝えていました。それはこうです。

 正倉院御物の修復に使う絹糸は、現代の絹糸では太さ、強さが奈良時代のものと違うのでうまくいかない。ところが皇室に伝わる蚕が紡ぎ出す絹糸だとぴったり修理ができるそうです。

 最近、野菜や穀物なども近代になって消滅してしまった古い品種が次々と復活しています。大阪のコツマナンキン、泉州の水ナス、京都の賀茂ナスなど、、、 

 かつて消滅しかかった古いタイプの野菜が復活している理由は単にノスタルジックだというだけでなく、現代の品種改良が進んだ野菜にはない深い滋味があるからでしょう。

 そういえばこのごろ、ラッキョウ漬けがあまりおいしくありません。味に力がないような気がするのです。

 子どものころのラッキョウはおばあさんが野生のものを掘り取って漬けていたことを思い出し、さっそく子どものころよく遊んだあぜ道を注意深く探したらありました!来年はこのラッキョウを掘り取って漬けてみようと思います。

本誌:2006年11.6号 12ページ

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