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連載記事

クジラ衝突

 九州で高速船がクジラに衝突する事件が今年になってすでに5件発生。4件は対馬海峡の国際航路で起き、4月9日には屋久島から鹿児島に向かっていた高速船「トッピー4」がクジラらしき海洋生物にぶつかり大勢のけが人が出ました。

 ワイドショーでは早速コメンテーターたちが、捕鯨禁止でクジラが増え過ぎたのが原因、などと、したり顔で解説しています。いつものことながら、捕鯨復活論者の言い分は、クジラが増え過ぎたせいでオキアミが食い尽くされ、マグロなど大型魚類が減っているなどというアヤシイものが多いようです。

 しかし、これは捕鯨推進の立場にある日本鯨類研究所が「オキアミ資源は高水準にある」(平成16年)と否定しているし、また今回の事故に関して、「1、2年の間にクジラが増えたとは考えられない」とクジラ急増説には否定的です。

 考えてみれば、もしクジラという生物が増え過ぎて困るような生き物なら、ここ100年程度の近代捕鯨が始まるはるか前に、マグロもタイも絶滅しているはずです。

 捕鯨論議はともかく、現実問題として高速船がクジラにぶつかるのは避けられるのか。漁業や軍事目的で開発されたハイテク機器を積極的に装備するなど、クジラと人間がお互いに不幸な形で出会わなくてすむ方法はきっと見つかると信じています。

本誌:2006年4.17号 12ページ

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