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連載記事

暗いニュース

 やっと4月・新年度になりました。今年の1月から3月にかけては暗いニュースの連続で明るいニュースはほとんどありませんでした。鳥インフルエンザ事件では、あれだけ行政やマスコミが騒ぎ立てたのに、何ひとつ解明されることなく終息したもようです。

 中東、ヨーロッパではテロや暗殺が頻発し、テロの恐怖はじわりじわりと東京にまで及んできています。その東京の新名所、六本木ヒルズで幼い子供が回転ドアにはさまれて死亡するという痛ましい事件が起きました。

 国土交通省は急遽安全基準を作ると言い出しましたが、これはこの事件の責任追及をあいまいにするための方策ではないでしょうか。つまり「安全基準がなかった時代の事故なので当社(あるいは行政)に落ち度はなかった」という言い訳です。

 しかし、ギロチン構造のドアには、そもそもいかなる安全基準も設けようがない、というのが一度でも恐怖の回転ドアを通ったことがある人の率直な感想ではないかと思います。

 不幸な事件は出版界でも起きました。東京地裁が週刊文春の出版を差し止めるというあってはならない事態に対し、すべてのマスコミが連帯して立ち向かうのかと思ったら、大新聞が「差し止めも仕方ない」という態度をとったのがとても不可解でした。

 地裁に訴えた当事者が「田中真紀子の長女」としか伝えられないのも不思議です。真紀子さんとは「別人格の私人」なら当然長女の名前で事件が報じられるべきです。なんだか「更級日記」で有名な菅原考標の女(すがわらたかすえのむすめ)を思い出しました。

 幸い東京高裁が地裁の決定をくつがえしたのでやや救われた感がありますが、表現の自由、言論の自由を守るのは、ほかならぬ国民一人一人の意識にかかっていることをあらためて喚起させる事件であったと思います。(康)

本誌:2004年4.11号 68ページ

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