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連載記事社説

「見えないもの」への寛容さ

 台風10号は日本列島に大きな爪痕を残した。ちょうど暴風圏に入りそうなタイミングと東京出張が重なり、予約便を変更するなど対応に追われた。結果的に台風の進行スピードが遅く、岡山で風雨が強まるぎりぎりのタイミングで無事に帰岡することができたのだが、天候ばかりは自分の力ではどうすることもできず、気をもむ数日間となった。

 毎年のように襲来する「過去最大級」の冠付き台風。盆休み前には日向灘沖を震源とする最大震度6弱を観測した地震の発生で「南海トラフ地震臨時情報」が発表されるなど、近年は気象に関する情報に振り回されることが格段に増えた。西日本豪雨災害を経験し、県民の意識も一時よりは高まりつつあるはずだが、日ごろの災害の備えなど、わが家でもほとんどできていないのが実情だ。

 県外出身の経済人から「雪国であれば必ず用意しなければならない備えも岡山では必要ない。危機管理にかかるコストの少なさは大きなメリット」と言われたことがある。「晴れの国」で暮らすありがたさは、岡山で長年暮らすわれわれよりも、県外出身者の方がより痛感するのだろう。

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本誌:2024年9月16日号 18ページ

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