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連載記事社説

世界の課題を自分事としてとらえる

 G7広島サミットが幕を閉じた。当初はバイデン米大統領が政府債務上限問題で不参加の可能性もあり、当たり障りのない共同声明を採択して閉幕するものと想像していたのだが、先の大戦では敵味方に分かれて戦ったG7首脳が揃って広島の原爆慰霊碑に献花し、原爆資料館を訪問するなど、近年では記憶にないほど印象に残るサミットとなった。

 中でも、オンラインでの参加とみられていたウクライナのゼレンスキー大統領の対面での参加は、今サミット最大のサプライズ。戦争当事国のリーダーが外国を訪問することの調整の難しさは想像に難くなく、政府の努力は素直に評価したい。F-16戦闘機を他国がウクライナに供与することを米国が容認するなど、リーダーが強い覚悟を示したことで連帯は一層強まり、国際政治はそんな単純なものではないことは百も承知だが、サミットでの議論を契機に早期に終息に向かうことを祈るばかりだ。

 戦後、日本の安全保障はアメリカ頼みで、ひたすら経済成長に力を注ぎ、世界第2位の経済大国になった。その後、経済のグローバル化が急速に進み、中国が経済、軍事両面で台頭。世界の勢力図が大幅に塗り替えられ、相対的に日本の国力は衰退を続けている。その原因の1つは、国際社会の課題を「他人事」ととらえ、ガラパゴス化が進んだことにある。

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本誌:2023年6月5日号 22ページ

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