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連載記事人材育成のタネ 68

人が育ち、業績が向上する人事考課制度

  • 竹本幸史氏

 社員が定着し、イキイキと働く環境づくりを考えることは組織全体の責任です。近年では、採用難も重なり、働く環境整備に取り組む会社は急増しています。その一環として人事考課制度の見直し、導入を検討している会社も多いのではないでしょうか。どのような制度にすることが、自社にとって有益であり、人が育ち、業績も向上するのか。今回は作成するうえでのポイントをお伝えしたいと思います。 

 人事考課制度を設ける目的は、単に社員の賃金や賞与を決めるためだけのものではありません。最も重要な目的は、会社が目指す方向性や、その上で社員に求めるものを可視化し、風土を形成していく事にあります。可視化(仕組み)に必要な要素として、被考課者(部下)の成長につながる目標設計(成長目標)、現在の業務遂行において必要な基礎能力(コンピテンシー)の設計、業績(成果)につながる業績項目の設計(売り上げ・品質・時間・財務など)の3つが挙げられます。ここでは、特に被考課者(部下)の成長につながる目標設計について解説したいと思います。目標設計とは、専門領域に対して資格を取得するといったことだけでなく、被考課者に今後求めたい役割を踏まえ、どのように組織の中で取り組んでもらいたいのかを明確に示すことが必要となります。それにより、被考課者も具体的な行動イメージがわいてきます。さらに、その目標が自身の成長につながる目標(成長目標)として本人がとらえることができると、より目標に対しての動機づけにつながっていきます。目標設定を考えることは、上司にとって重要な仕事です。まずは部下の成長につながる目標を考えてみましょう。

 改めて考えておかなくてはならないのは、被考課者を「評価する仕組み」です。人は仕組みだけではなかなか前向きに行動できません。そのため社員のやる気や感情を引き上げ、仕事へのやりがいを持ってもらうことが重要になります。そのために必要な仕掛けが、動機づけです。自分自身で動機づけできる社員はあまり多くありません。上司が協力して、前に一歩踏み出せるよう伴走してあげることが必要です。では、どのようにして動機づけすればいいか。そのポイントが「意味づけ」です。

 何年後こうなってもらいたい、この仕事をあなたに任せたのは、こういった理由があるなど、被考課者が提示された目標に向かって取り組む意味を明確にすることが重要です。上司の視点で考えれば、「適正な目標を設計し意味づける」ことが、動く仕掛けにつながるということです。人事評価制度の構築において、仕組みを重視することが多いですが、被考課者の視点で物事を考えると、重要なのは仕掛けなのです。そもそもあの上司に評価されたくない、何を期待されているかわからない、やったことをしっかり見て欲しいといった不満を言われないためにも、管理職は部下の仕事に対して、常に関心を持たなければなりません。

●竹本幸史● 元㈱リクルート岡山支社長。現在は人材育成を主としたコンサルティング業務の㈱SWITCH WORKSを立ち上げ奔走。またリーダー養成スクール「法人会員制・定額制ビジネススクール」を開講中

本誌:2019年夏季特別号 11ページ

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