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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

川べりの野菜畑

 近所の線路際や川の土手沿いに小さな野菜畑があるのをたまに見かけます。近隣の住人が空き地を勝手に耕して畑にしている例も相当あるのではないでしょうか。法律上はよくない行為ですが、地域社会で特に問題にならない限り、本来の地主である市や鉄道会社も大目に見ているように見受けられます。

 最近ではそうしたちゃっかり園芸愛好家のなかに外国人と思われるおばちゃんグループもあり、「やさいとらないでください」とたどたどしい日本語で書かれた小さな看板を見ることもあります。たたみ2畳分ほどの畑にミズナやブロッコリ、ネギなどいろんな野菜が立派に育っています。のどかな光景です。

 近年、労働力不足の日本では我々が想像するよりはるかに多くの中国、東南アジアからの出稼ぎ労働者によって、広範な産業が下支えされています。夜遅く閉店間際のスーパーで東南アジア系外国人労働者が3、4人連れだって値下げシールが張られている食品を買っている光景もよく見ます。

 彼らが日本社会にうまくとけ込んでいるかというと実際は疎外感と孤独のうちに毎日を過ごしている人も多いのではないでしょうか。たまの休日、飲みにいったり近場の観光名所に出掛けようにもお金がかかるし、第一彼らは給料の大半を故国の家族に仕送りしていて、自分の気晴らしのために使うお金などほとんどないのが実情ではないかと思います。

 そうした外国人労働者が発見した趣味と実益を兼ねた楽しみが道ばた菜園ではないでしょうか。日本ではホームセンターやスーパーの店先で野菜の種や苗が簡単に手に入ります。問題はアパートやマンション暮らしでは耕す土地が手に入らないこと。待てよ、自転車で職場に行く途中に雑草に覆われた日当たりのいい土地があるではないか!だれも耕してる様子はないし、ここはトマト栽培にぴったり!ちょっと植えてみよう。

 自分で植えた野菜が育つところを見ると心が癒されるし、古里でも今ごろトマトが赤くなっているかなと思うと切なくもうれしい気持ちになるでしょう。小さくても“自分の畑” の癒し効果は絶大です。

 ただ、彼女達の開拓者魂に火が付いて“土地争い”が起きたり、権利を主張したり、近所の住民と紛争が起きたりしないか、それが心配です。

本誌:2019年3月4日号 13ページ

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