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20年ぶりのカナダ訪問

 3年前に亡くなった私の父は4人兄弟の末っ子でした。長兄は農家をつぎ、父は教師になって結婚後は生家のすぐ近くに家を構えたのですが、父の姉と次兄は戦前にカナダに渡り生涯をカナダのアルバータ州で過ごしました。そんなわけで私も半世紀も前からカナダにはちょくちょく遊びに出掛けていました。

 広い小麦畑で巨大なコンバインを使って収穫作業を手伝ったり、伯父さん自慢の6リッター・アメ車を運転させてもらったり、いとこたち家族とロッキー山脈のバンフまでキャンプに出掛けたり、半世紀にわたって楽しい交流が続いていました。最後は伯父の葬儀にも駆け付けたりしました。

 ところが2001年に私が仕事を辞めて両親を介護するようになってからというもの、介護の手を休めてカナダまで行くことは到底無理で、最近の20年間はもっぱらカナダのいとこたちが日本に来たとき会うのみでした。しかしそんな片側交流も終わりです。母の一周忌も終わったので、ふとカナダへ行ってみようと思い立ち、向こうの都合も聞かずチケットを購入しました。9月末の関空発バンクーバー経由カルガリー便の最安値は往復7万円でおつりがくる安さ!10月に入れば紅葉のシーズンでチケットの値段も倍近く跳ね上がります。

 「月末に1週間おじゃまするよ!」とメールを送ったら従姉妹たちもびっくりしながらも大歓迎のメッセージを返してくれました。幼なじみの彼女たちも今ではすっかりおばあさんと言っていい年齢になり、7人のうち2人はすでに物故者となりました。伯父、伯母そして亡くなった従姉妹たちには花を捧げようと思います。

 楽しみな旅行プランですが、問題もあります。従姉妹達はみんな大豪邸(日本から見ると)住まいだったのに、後期高齢者の今、住み慣れた家を売り払い、老人夫婦が快適に暮らせる集合住宅に入居してしまいました。どんなところなのか行ってみないと分かりませんが、お客が泊まれる余分な部屋はないのかもしれません。果たして歓迎のメールには、昔と違って「うちに泊まりなさい」の一言がありません。ホテルを取るべきかどうか、尋ねるのも気がひけます。さて、どうなることか、ぶっつけ本番で出掛けることにしました。

本誌:2017年秋季特別号 14ページ

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