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[知的財産]同一代表取締役会社間の権利譲渡

 Q :「甲株式会社」と「乙株式会社」とは、同一のA代表取締役を有する内国法人です。甲が現在有している特許権を乙に譲渡する場合の手続で気をつけることがありますか。

 A:ご相談例は、原則的に会社法第356条第1項第2号に定める利益相反取引に該当するものと考えられます。このため本譲渡手続には、通常の財産と同様、有償譲渡の場合は甲及び乙の両方の会社の承認書面を要し、無償譲渡の場合は甲の承認書面を要します。

 承認書面は、法人の性質により必要書面が異なりますので、下に代表的なものを示します。

 1)取締役会設置株式会社の場合
 ・取締役会議事録または取締役会承認書
 ・取締役会開催日以降に認証された、開催時の取締役、監査役全員の記載及び「取締役設置会社」の登記のある登記事項証明書

 2)取締役会設置会社でない株式会社の場合
 ・株主総会議事録
 ・株主総会開催日以降に認証された、発行株数の記載のある登記事項証明書

 表は、利益相反行為が関係する手続において、このような承認書面の要否を示すものです。ご相談例はこの表の3に該当しますが、これ以外にも1及び2のように会社とその取締役との間の取引についても注意を要します。

 また、ご相談は、特許権の譲渡手続に関するものですが、承認書面の要否については実施権等の設定登録についても同様ですし、さらに特許権以外の商標権、意匠権、実用新案権についても同様です。

 なお、在外法人間の取引の場合や、両法人の株主が完全に同じであるといったように実質的には利益相反行為に該当しない場合は、承認書面が不要のこともあります。

 *特許庁インターネットホームページ(https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/touroku/iten_rieki_souhan.htm )から引用。

本誌:2017年9.11号 19ページ

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