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京都御所、京都迎賓館参観記

 秋晴れの一日、京都まで日帰り旅行をしました。最近通年一般公開が始まった京都御所と京都迎賓館を訪ねてみるのが旅の目的でした。

 京都御所といってもいったいどんな場所なのかぴんとこないまま内裏の中に入ってみるとそこは源氏物語の世界でした。物語に出てくる紫宸殿、清涼殿などが1000年の時を経て現存していることに驚嘆の思いがしました。もっとも建物そのものは何度も焼失と再建を繰り返し、現在の建物のほとんどは安政2年(1855)に再建されたものです。(参観は無料)

 歴史的また文学的背景はともかく、万世一系の天皇制の長い歴史の中心地であった京都御所ですが、参観してみて感じたのはヨーロッパ諸国の宮殿や日本の城郭と比較しても驚くほど“質素”な宮殿であることです。外敵の侵入を防ぐために何重にも堀を巡らした城塞の建築様式に比べると御所の守りは簡素な土塀で囲われているだけです。

 不思議です。火消しが使うような梯子をかければ何の苦もなく侵入できそうな御所なのに長い歴史の中でそういう不敬な事件は起きなかったことが!(実際はいろいろあったと思いますが)。つまりは権力や武力ではなく天皇の権威による守りをそこに見てとれるということでしょう。

 東京の赤坂迎賓館に対し和風の施設で賓客を迎えるために2005年4月にオープンしたのが京都迎賓館です。同じ京都御苑内、御所のすぐ隣に位置しています。この夏から当日参観も可能になりました。空港並のセキュリティチェックを受け、参観料大人1500円を払い、ガイドさんの案内に従って建物内部を見学します。

 贅をつくしたインテリアと家具調度、庭園を拝見しつつも何か居心地の悪さを感じました。和風ではあっても日本建築特有の開けっ放しの気楽さは微塵もありません。

 鴨居や障子の高さが外国人賓客に合わせて2mもあることからくるアンバランスさ。舟遊びもできる池を配した中庭はあっても建物の外側に向かって開口部(窓)がありません。こうした設計はセキュリティ上の制約から仕方なかったのかもしれませんが、これではなんだか高級座敷牢です。京都御所の開放感とはえらい違いです。

 もし私が賓客なら、会議や宴会が終わったら、あとはゆっくり市内のホテルで休ませてもらいます。

本誌:2016年11.7号 15ページ

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