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連載記事人材育成のタネ 30

組織開発を進めるための7つの能力

  • 竹本幸史氏

 日本では人材開発や能力開発、キャリア開発など、人を中心にしたものは盛んに研究されていますが、組織開発に関しては未対応のことが多くあります。2010年に一橋大学大学院の守島基博教授の発表によると、日本では人が集まると自然に組織ができたからとのことでした。つまり、単民族であり、文化的にも「和」を大事にする日本人は、組織をわざわざ開発しなくても、まとまってこられたのです。組織開発とは、組織の課題に合わせて部門を分け、どう指揮命令を行うかを決めるなどの組織設計や組織デザイン(ハード面的)ではなく、その部門同士のコミュニケーションをいかに上手く行うかなど、効果的に組織デザインが機能するように仕掛けや仕組みをつくること(ソフト面的)です。では、なぜ組織開発が重要なのか。それは、日本企業においても多様性の拡大、自律型、イノベーションを起こせる人材が地方でも必要になっているからです。

 では、具体的に組織開発において必要な能力とは何なのか。①働く人の元気②経営への信頼やコミットメント③人材育成・リーダーの継続的創出④文化・価値観の共有⑤変化への準備⑥職場の協働・協調⑦知識創造です。

 では、これら7つの組織能力を具体的にどう開発していくのか。1つは「マネジメントの強いコミットメント」です。組織開発の成否を左右するのは、企業が目指す組織の姿と、人材にどのような働き方をしてもらいたいのかを明確に示し、組織に属する人の理解を得ながらさまざまな取り組みを推進していけるかです。経営者などマネジメントが組織開発に価値を感じ、全面的にバックアップしなければ、組織開発は形骸化してしまいます。2つめは「適切なツール選択と専門家の登用」です。研修は代表的な組織開発のツールですが、ほかにも、就業規則、人事制度、座席の配置、部門の呼称など組織と人事に関係するものはすべて、組織開発推進のツールとして活用できます。

 取り組みを組織開発のツールとして適切に機能させるためには、全体を俯瞰しながら、取り組みを推進できるスキルを備えた担当者が必要です。多くの中小企業は、社内に組織開発の専門家はいません。組織開発が社内に根付くまで、そして社内専門家が育つまでは、外部の専門家を上手く活用しながら、組織開発に取り組むことが成功の要因となります。

 3つめは「変化への抵抗に対するマネジメント」です。組織開発は、組織と人に変化を求める取り組みです。変化の起こるところには、必ず抵抗が生じます。組織開発は、変化への抵抗を組織の方向性や自分自身に求められるものを考える機会として活用しながら、組織をつくっていきます。しかし、変化を起こす取り組みの65%は失敗に終わるという調査結果もあります。せっかくの取り組みを失敗に終わらせないために、組織と社員の反応を十分にモニタリングしながら、適切な打ち手を講じることが重要です。

●竹本幸史● 元㈱リクルート岡山支社長。現在は人材育成を主としたコンサルティング業務の㈱SWITCH WORKSを立ち上げ奔走。またリーダー養成スクール「法人会員制・定額制ビジネススクール」を開講中

本誌:2016年6.6号 11ページ

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