WEB VISION OKAYAMA

連載記事マネーの道しるべ 15

「保育園落ちた日本死ね」に見るさびしさ

  • 森康彰氏

 最近「保育園落ちた日本死ね」という匿名の文章を政治家やマスコミが取り上げているのを見るたび、さびしい気持ちになる。価値観が多様化した世界に「絶対こうでなければ不幸である」ということはない。つまり、「保育園落ちた日本死ね」の向こう側には、思い込みに絡みとられ、優先順位を決めることができずに、身動きが取れなくなってしまった苦しみがある。これは保育園の数を増やし、待機児童がゼロになったところで問題解決にはならない。問題を解決するためには、いい大学を出ないと幸せになれない、上場企業で働けないと安定できないなどは、思い込みでしかないことを気付かせると同時に、自分自身と向き合い、自分が大切にしたいことの優先順位を決め、現実的な選択肢の中から自分の人生に責任を持つ生き方をすることが有効なのだ。

 仕事柄、さまざまな家計を見ているが、実際に家族を目の前にして気付くことは、家族の幸不幸は、収入の過多よりも仲不仲の方が重要であるということだ。仲良くするために大切なことは、家族という集団の優先順位を間違わないことだと感じる。3年ほど前、「ももたろう未来塾」という岡山県が実施している地域リーダー育成の勉強会に参加していた時、講師が「子どもをどんどん産みさえすれば経済は成長するが、政治家もマスコミも自分がかわいいから決してそうは言わないんです」という話を聞いた。しかし、子どもを授かることの大切さは、経済とはまったく関係ないことだ。私は40歳を過ぎて子どもを授かったせいか、かわいくてしょうがない。産まれてすぐ目が合った時、体の奥の部分にわき上がった幸福感は何物にも代えがたいものであった。もっと若い時に子どもを授かっていれば、より充実した人生であったかもしれないと後悔したものだ。

 政治家やマスコミは、家族の大切さや幸福感をもっと多くの人に伝えてほしい。


●森康彰● 2年間、保険代理店に勤めた後、2008年に保険コンサル会社㈲e.K.コンサルタントを設立。2014年に東京支社を設けるなど、首都圏へも業務を拡大中。 敬愛する人物は、稲森和夫、立川談志。

本誌:2016年5.30号 15ページ

PAGETOP