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地域ブランド農産品

 既にヨーロッパでは地域の特色ある農産品目をその地域の名称と共に登録して保護し、ブランド化を図ることが長年行われている。フランスのAOCとはアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ(Appellation d'Origine Contrôlée)の略で、「原産地呼称管理法」と訳されている。15世紀にチーズのロックフォールの保護のための制度にその原点があると言われている。近年1919年に法制化され、1925年にロックフォールが認定第1号となった。フランスの代名詞とも言えるワインは1935年に登録され保護されている。この典型的な地域ブランドとしてシャンパンがあるが、これについては後述する。

 GIとはGeographical Identificationの略で「地理的表示保護制度」の意味である。農林水産省は「地域には長年培われた特別の生産方法や気候・風土・土壌などの生産地の特性により、高い品質と評価を獲得するに至った産品が多く存在しています。これら産品の名称(地理的表示)を知的財産として保護する」とこの制度の目的を定義している。日本は世界でも稀な農業大国であるが、国内消費が主で、輸出をほぼ念頭に置いていないために今までこのような地域とその地域の名産を組み合わせたブランドを法律で守ることを実施してこなかった。最も江戸時代には300諸藩は自藩の経済的繁栄のためにいろいろな農産物のブランド化を図っていた。東海道中膝栗毛の弥次さん喜多さんの食べた「焼き蛤」は「桑名の名物」である。洒落言葉に「その手は桑名の焼き蛤」が残っている。しかし、明治以降の富国強兵の制度の中で農産物の地域ブランド化は士農工商の中で一番下位に置き去られ、やっとフランスから遅れること100年近くたって同様の法制化ができたことになる。

 農林水産省は昨年12月22日、地域に根ざした農産品ブランドを国が保護する地理的表示(GI)として7品目を認定した。名称に平仮名や片仮名が見られるが、これは少なくとも漢字化したものも併せて表記・保護すべきである。これらの7つのブランドは農林水産省認定のGIマークを付けることが許される。富士山と日の丸をシンボル化したロゴマークである。独占権も与えられるので非常に強いブランドとなる可能性がある。

 本来は「シャンパーニュ」と呼ぶべきなのであろうが、日本では通常「シャンパン」と言われているので、「シャンパン」とここでは呼ぶことにする。「シャンパン」はフランスのシャンパーニュ地方でつくられ、かつフランスのAOCに規定された条件を満たしたもののみ名乗ることができる。その条件には①シャンパーニュ地域の指定されたブドウの品種を使用すること、②伝統的製造方法で製造すること、③既定のアルコール度数を達成すること、④瓶内での二次発酵を行った上で封緘後15カ月以上の熟成を経たもの、などの厳しい規定がある。フランスのその他地域、チリやオーストラリアなどで同様の製法で作られたものは「シャンパン」とは呼称できず、「スパークリングワイン」としか表示できない。 17世紀末から18世紀初頭に修道士ドン・ペリニヨンが発明し彼の名前を冠した世界初の「シャンパン」の価格が高い理由もここにある。

本誌:2016年2.1号 19ページ

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