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スキーバス事故

 軽井沢近くの国道で起きたスキーバス事故は目を覆うような悲惨な結果をもたらしました。就職も決まり春からそれぞれ希望の分野で活躍しようとしていた学生たちが何故こんな不条理な死に方をしなければならなかったのか、残された家族の無念の思いはいかばかりかと思います。

 「格安バスツァーに参加したばっかりに……」というのがどの遺族にも共通した悔恨ではないでしょうか。なぜ大学生ばかりが犠牲者になったかというと、大学の生協にはこうした格安旅行のパンフがいっぱい置いてあるからです。サークルやゼミ仲間がこうした粗悪な旅行商品に飛びつくのはごく自然なことです。

 私も大阪の大学で働いていたとき同僚や学生たちと計5人で生協が取り扱っている格安スキーツァーに参加したことがあります。バスは事故も起こさず新潟県赤倉温泉スキー場まで連れていってくれましたが宿が酷かった。

 大きなホテルなのに部屋には石油ファンヒーターしかなく3時間経過すると火が消えます。3時間ごとに「起きてスイッチを入れてくれ!」と凍える寒さの中でお互いにけっとばしながら悶々。しかしそのうちタンクが空になり、フロントに電話。フロントは「こんな真夜中に言われても……」と応じない。あやうく室内凍死するところでした。

 スキー旅行の楽しさを学生にも教えてやろうと企画したツァーだったのに散々な目にあい怒りが収まりません。生協に文句を言ったら、クレームは主催旅行社に言えといいます。そのとき初めて旅行主任やら知事認可、国交省大臣認可などの制度があること、パンフを通り一遍見ただけでは分からない条件等があることも学びました。

 結局、海千山千の旅行社相手に粘った甲斐があって一人5000円ずつ取り戻しましたが、生協には二度とこんな旅行商品は置かないよう申し入れたのは言うまでもありません。

 今回の事故の犠牲者、早大女子学生の母親は取り乱すことなく気丈にも「学生が親への配慮から格安のツァーを選ぶのは自然なこと」(産経ニュース)と言っていました。しかし格安にも限度があります。今回、法令違反を繰り返しているような劣悪な会社の旅行商品を大学生協が扱っていたとしたら、大学生協の責任は免れないのではないでしょうか。

本誌:2016年2.1号 15ページ

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