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恐怖の骨髄穿刺

 ときおり骨髄移植のことがニュースで話題になります。移植すべき骨髄をどうやって体から取り出すかといえばほかでもありません。提供者の腰骨にぶっとい針を差し込んで骨髄液を採取します。

 もし友人知人から「骨髄ドナーになって下さい。あなた以外に型が適合する人がいないのです。ぜひ助けて」と泣きつかれても恐怖が先にたって簡単に「はい」とは言えません。ところがその恐ろしい体験を自分がするはめになりました。

 極度の疲労感に体の異変を感じて病院で血液検査をしてもらったら感染症を示す数値が跳ね上がり、逆に白血球や血小板の数値が大きく落ち込んでいました。自分の体にいったい何が起きているのか、とても気になります。しかし入院4日目になってもまだ原因がはっきりしません。

 住んでいる場所が緑豊かな田園地帯と言えば聞こえはいいのですが、周囲は草ぼうぼうの空き地や竹藪がいたるところあって、草むらにはダニもいます。おそろしいツツガムシ病とはダニによる重篤な疾患です。

 症状と住居環境から考えてツツガムシ病が疑われるのですが体中探しても刺し口の跡が見つからず、医師は抗生剤の投与をためらっています。もう一つの危惧は各種血液成分の減少です。白血球や血小板が減っているからこそ感染症を起こしているとしたら事態はより深刻です。

 入院早々医師から「これから骨髄穿刺検査をします」と告げられました。心の準備がないところへ不意打ちです。「かつてない激痛、電気が走る、下半身マヒになった」などと恐ろしい体験談をよく聞きます。今さら逃げ出す訳にもいかず覚悟を決めるしかありません。

 局所麻酔が終わっていよいよ「キターッ!」です。医師が自分の体重をかけて注射針を私の腰骨に突き立てグリグリえぐっている様子が背中に感じられます。「うん?たしかこの辺で電気が走るはずだが……」と意外な展開にちょっと心の余裕ができて医師に「今、何合目ですか?」と尋ねたら「半分終わりました」とのこと。残り半分の髄液を吸い出す感触も痛みというより違和感程度でした。

 「案ずるより産むが易し」とはまさにこのことでした。しかし本当の恐怖は検査の結果次第です。人生ままならぬものですね。

本誌:2015年10.5号 15ページ

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